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愛のマーチ(2016)

MOOSIC LAB 2016 スペシャル・メンション(伊藤祥&笹口騒音ハーモニカ)

『愛のマーチ』

出演:伊藤 祥、上川周作、土居志央梨、宇野祥平、前田晃男、水上竜士、ぽみたん、はるたむ、えりもっこり、みゆぴょん

監督・脚本・編集:伊藤祥|音楽:笹口騒音オーケストラ|撮影:米倉伸|照明:上久保南海、藤井光咲|録音:斎藤大貴、篠原茉莉

<<ストーリー>>
『異性編』サイレント映画。
600 年生きるバンパイア。長い間一人孤独に暮らしている。 ある日バンパイアの前に現れたのは、ピチャヌマという写真たてに閉じ込めら れた怪物。 ピチャヌマとの出会いから、バンパイアの孤独な日々が終わり、二人の生活が 始まる。そして二人の間に愛が生まれたのだが・・・『友情編』実写&アニメーション映画。 ニートの男、守。電話をしながら道を歩いていると、目の前に鹿が現れる。 そして鹿の肛門から口が出てきて守の下半身を食べてしまう。 気がつくと守と鹿の体がくっついていた・・・そして・・・『自己編』ドキュメンタリー映画。 ドローンで遊んでいた、ガングロギャル四人。目を覚ますと何故か 無人島に漂流していた。そして独りでに動くドローン。4人のサバイバル生活が始まる。

◉伊藤 祥

京都造形芸術大学映画学科出身。現在俳優事務所リガメントに所属。初監督作品「いろんなにおいのワカモノだ」が2016年度ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にてスペシャル・メンション賞を受賞。

◉笹口騒音オーケストラ

21世紀の吟遊詩人笹口騒音ハーモニカが新たに立ち上げた新バンド!既に耳のはやいリスナーからは日本のArcade fire、東京のBeirutとの呼び声も高く、総勢8名の腕利きプレイヤーからなるミラクルな演奏は必聴必見。

>>公式サイト


■審査員講評

愛って怒濤だ。美しいものもきたないものも笑いも涙も孤独もクソも生も死も祝祭もすべて飲み込んで押し寄せる圧倒的な愛の波。わずか60分で人類の秘密に触れてしまったかのような心地になりました。良かったというか、もう白旗です。感服です。最高です。ーーー林未来(元町映画館)

※劇中みたくホイッスルの笛の音がリズミカルに鳴り響いている中、「愛のマーチ」の掛け声とともに複数の男女が行進している画を想像してください。
 一粒で三つの味楽しめる。合理主義者どもが跋扈する現代人に超おすすめ愛のマーチ。セリフもなく、色彩もない、不在が良しとされた世界で紡がれる生と死と愛とボーイミーツガール…愛のマーチ。鹿と下半身合体しちゃった…ケンタウロス仕様じゃないから動きにくいぜ、男も友情なんてあてにならないも脆いもん…宇野祥平のセンチメンタルジャーニー…愛のマーチ。ドローンとギャルと無人島…圧倒的偏愛vs流行りの俯瞰…愛のマーチ。今作観ても全く愛とはなんなのか分かる気配はないけど、人間的なセンチメンタルだけが残留する…愛のマーチ。愛にまみれた人間なんて所詮はフリークス的だぜ、異形もんだぜ、愛のマーチ。分からないことが愛おしくて、理解できないけど目の前に転がっているもの全部楽しい。ーーー大下直人(Kisssh-Kissssssh映画祭)

結果、ぼくはグランプリを「愛のマーチ」を選んだ。決して分かりやすい作品ではないが、笹口騒音オーケストラの音が随所に決まる。ぬるく、切なく、泣けてくる。化学反応でもないけども、終わった後、なぜだか人恋しくなり、人に優しくなれるように友を思った。まさに“愛”。画面に拡がる極彩色。そして闇の吸血鬼。不条理な愛のトライアングルは良い騒音となるMOOSICだ。ーーー家田祐明(K’s cinema)

3つのパートの切り替えの塩梅が素晴らしく、飽きさせないのはさすがです。笹口騒音オーケストラさんの音楽が不穏さを掻き立てる…特にモノクロパートの雄弁さは素晴らしすぎる。ドローン…ーーー小田祐二(宇都宮ヒカリ座)

若き天才による『脱脱脱脱17』と『愛のマーチ』。松本花奈監督と伊藤祥監督は、表と裏、王道と異端のように真逆のベクトルを持つ才能ですが、共に寺山修司の匂いを感じたり。ただ両方とも成長の余地という意味で課題は残るはずなので、現時点の評価として「準」の位置に置かせてもらいました。初動の緊張感が凄いわりに、展開力にパワーが欠けるという指摘は可能かと。構成や編集にもっとクリアな判断が入れば、いわゆる「前衛イメージ」の壁を突破できるように思います。ーーー森直人(映画評論家)

笹口騒音オーケストラの音楽/サウンドトラックは素晴らしいのだが、それが用いられているのはほぼサイレントで撮られた白黒パートに限られるため映画と音楽の「出会い」は限定的で、「映画と音楽のコラボレーション」という観点からは評価し難い。ーーー松本CINEMAセレクト

まさに奇才監督と奇才音楽家との異種格闘技的な作品でしたね。3つのストーリーの到着点にあるもの、その答えを汲み取れるチカラが自分にあればもっと楽しめるのにと、少し悔しい想いになりました。これがジェネレーションギャップかも。伊藤監督、将来期待します。ーーー遠田孝一(プロデューサー)

大好きな世界でした。ーーー木下茂樹(テレビ西日本)

前作『いろんなにおいのワカモノだ』同様、3つのストーリーが展開していく本作を、前作以上にエッジの聞いたストーリーながら普遍的な「愛」の物語に仕上げた、鬼才としか形容できない伊藤祥監督のセンスとエネルギーに脱帽。同じく鬼才・笹口騒音とがっぷりよっつで組み合い、二人にしかできない「MOOSIC」作品を作り上げた力量に、スタッフ一同満場一致で特別賞を送りたい、という結論に至りました。ただ、あまりに鬼才過ぎて
観ている側が置いてきぼりをくらってしまうので、もう少し観る側にヒントを与えられるようになればもう一歩先に進めるかなとも思います。ーーー松岡宏起(下北沢映画祭)

3つの物語がどこかで交わるのかなあと思って観ていたのですが、特に交わらず、かといって失望せず、それぞれのパートが楽しめました。ただギャルはどこに行ったのかは気になったままです。多分力強く生息していると思っています。3つと書いたのですが「愛のマーチ」を運ぶシーンはどのパートなのか、もしかしたら4つの物語なのかなとも思いました。モノクロの物語には色と音のない代わりに音楽があり、音楽の使い方のメリハリも良かったのではないかと思いました。ーーー菅原睦子(仙台短篇映画祭)

60分間、きっちりと魅せられました。鹿の肛門に吸い込まれた男。モノクロパートのあの奇人。無人島のギャル。世間や社会や時代性に見放された人物たちのそれぞれの向かう先を、笹口騒音オーケストラさんの音楽がちゃんと後押しをしていました。野心的な一本ですし、あのギャルたちが、いつその纏ったものを脱ぎ捨てていくのかなど、興味がありましたし、映画の入口から出口までキャラクターがそれなりに変化をしています。ただ、3つのストーリーがどうしても観ている側として、結びつかない。それぞれのお話としてはおもしろいけど、結局、監督が自分で演じているということも含めて、監督にしか見えていない世界がありすぎる気もしました。故に、伝わりづらさも多分にありました。ーーー田辺ユウキ(CO2宣伝プロデューサー)

異色の映像作家、伊藤祥の『愛のマーチ』。かなり尖った作風なため、観る観客を100%選ぶ出来はなかなか。そして異色には100の顔を持つ男、宇野祥平のキャスティング。やはり伊藤祥はわかっている映像作家だ。ーーー坪井篤史(シネマスコーレ)

3つの世界がそれぞれ展開していくが、関連性がない。笹口騒音オーケストラの音楽がそれらを貫いているということなのだろう。何かを「みた」気になるのは、映るものが飽きさせないようなペースであれこれとヴァリエーション豊富に移ろいゆくからで(たとえばシカの肛門に下半身を食われたままの宇野祥平、というモチーフは笑えるし絵になっている)、しかし観たそれが「何か」なのかは分からない。分からなくてもいいのだろうか。それはダメだと思う。ハッキリ言ってギャルのエピソードはなぜここに織り込まれているのか不明だし、宇野祥平はあれからどうなったのだ。ノスフェラトゥはそのスタイルだけで、その存在そのものの業(ごう)が見えたとは感じられなかった。ーーー田中誠一(立誠シネマ)

『愛のマーチ』はドイツ表現主義とドキュメンタリー、さらにアニメーションが交錯するはちゃめちゃな作品。ドローン飛ばしたり(でもオープニングのスタッフロールで「ドローン撮影」とクレジットがあるから、事前にそれがバレてて笑った)、目隠しして離島に運んだり、やりたい放題ですが、ノスフェラトゥの爪とガン黒ギャルの爪を対比させるなど、文脈がギリギリあり好印象。ーーー西島大介(DJまほうつかい)

内容はさっっっっぱり分かんなかったですが、不思議と楽しめました。笹口さんのライブに通じるものがある、というか、謎の感動がこみ上げてくるのは笹口さんそのものですね。ーーー黒澤佳朗(沖縄G-Shelter)

「夜、逃げる」とは対極に、“意味”を共有しない映像の連なりが笑いに化ける快感…船が行く遠景や孔雀のタイミングとか、無人島+ギャル+鎌の意地悪な画ヅラとか、誤解も含めて想像力をくすぐられる…というのか。エピソードが2巡する位までめちゃくちゃ興奮!した分、尻すぼみな印象が残った恨みは有りますが、ホントに前半は完璧なんじゃないでしょうか。ーーー溝口徹(横川シネマ)