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マイカット(2015)

MOOSIC LAB 2015 公式出品作品

『マイカット』

監督・脚本:小根山悠里香|音楽:サクライケンタ|撮影:三村和弘|スチール:飯田えりか|出演:前彩子、廣田朋菜、秋澤弥里、小根山悠里香、Maison Book Girl(コショージメグミ、和田輪、井上唯、矢川葵)、中村邦晃

★MOOSIC LAB 初の公募枠から選出された新人監督・小根山悠里香×ex.いずこねこプロデューサーのサクライケンタがプロデュース&ex.BiSのコショージメグミが所属する新 ユニット”Maison Book Girl”のコラボレーションが実現!音楽療法を施された多重人格障害の女性の内面に集まる4人の女性の争いと葛藤、そこに現れる白い少女たちとの物語。(カラー/45分)

◉小根山悠里香

1991年7月4日東京都生まれ。2007年映画『14歳』で役者デビュー後、監督の視点に興味を持ち2010年日本大学藝術学部映画学科監督コースを卒業。卒業制作『紫陽花の喰べ方』が数々の賞を受賞。今作が劇場デビュー作となる。現在フリーで監督、役者として活動中。

◉Maison book girl

コショージメグミ(ex/BiS)、矢川葵(ミスiD2015)、井上唯、和田輪の4人で構成されたアイドルユニット。プロデューサーはソロアイドル「いずこねこ」を手がけていた音楽家のサクライケンタ。ファッションブランドも展開するなど音楽に限らない幅広いシーンで活躍中。

※審査講評

「惜しい」度では一番。精神分析・心理学的なアプローチは個人的にも大好きなんですが、どこか監督の頭の中にある設計図やルールをアウトプットし切れていない。『脳内ポイズンベリー』や『インサイド・ヘッド』ほど判り易くしなくてもいいですが、もっと「伝える」ことを念頭にブラッシュアップすれば化けるかもしれません。(森直人/映画評論家)

お話と音楽が絡み合うというより、どこか隔離しきっちゃっている感じに、怖さを抱きました。『世界の終わりのいずこねこ』でも実感しましたが、サクライケンタさんのトラックはやはり怪物級に素晴らしく、映画音楽家として色んな作品を手がけて欲しいです。際立っているのに、フレームに収まっている。凄いですよね。「音」の部門では圧倒的に引きつけられました。(田辺ユウキ/ライター)

今回、音楽についてアイデアも仕掛けも最も工夫されていると感じた作品でした。そのぶん、観る前の印象にくらべて思いのほか生臭かったのが残念です。違う着地点なら評価が変わっていたかも。廣田朋菜さんが好みの顔過ぎて観終わってすぐに画像検索しまくりました。素敵な女優さんを発見できて嬉しいです。(林未来/元町映画館))

自分を監禁プレイする4人の人格、さらにそこに現れる4人の少女たちが脳内の精神世界が田舎にある静謐な一軒家で送る奇妙な共同生活。今作は個人的に自分殺しの物語かと思っています。そもそも、日常生活の中でコミュニティによって自己のペルソナを使いわけ、その上SNS等でいくつものアカウントを使い分けている現代。皆がある種多重人格者。だから他人事じゃねえよ。人生における節目(子供を授かるとか大学に進学するとか)、それぞれの人格はそのままではいられず、アップデートした人格に席を譲らなければならない。そんな、古い自分をどう殺していく過程を、Maison Book Girlの静謐で神秘的な音楽とともに語られる。自分殺しの物語は誰しもの人生に起こりうる。(大下直人/Kisssh-Kissssssh映画祭)

世界観が好きです。MOOSIC版「脳内ポイズンベリー」「インサイドヘッド」はこんな感じ。民家に集まる幻想的な白い服の少女は昨年の「ほったまるびより」(吉開菜央 × 柴田聡子)とかぶってしまうのがちょっと残念。(一昨年はまさかの遅刻しそうなJKの登校シーン、まるかぶり2作品がありましたね♪)(飯塚冬酒/横濱HAPPY MUSIC!映画祭)

多重人格の主人公への音楽療法という形で音楽を活用し、今回のMOOSIC作品の中でも最も実験的に映画と音楽の融合を狙った作品。ものすごく練られた絵作りとMaison book girlの持つイノセンスな世界観との融合は素晴らしかったが、作中での音楽の鳴り方が狙いに対して少し効果的ではなかった印象。(松岡/下北沢映画祭運営委員会)

音楽と映像表現はどれも美しく、逆光で枕抱くコショージさんの佇まいがとても印象的でした。内容は初見では全く理解出来なかったので、二度目の試聴である程度理解するも、サイトなどで情報見ていると、まだまだ理解出来ていない重要な設定や内容が‥。作品の余白たっぷりの空気感に浸りたかったですが、内容が全く入って来ない苛立ちが勝ってしまって楽しめなかったです。何度も見てちょっとずつ理解していく作品もアリと思いますが、私の感覚には合わなかったです。(黒澤佳朗/G-Shelter)

サクライケンタさんの純度がきわめて高く、カルト的。変態性とフェチ度が極めて強いです。良い意味で閉じた美学を貫き通しています。ツボるひとはツボりまくって抜け出せない感じ。西島が脚本と出演で参加した『世界の終わりのいずこねこ』とは音楽家は同じでも、内向き/外向き、感覚的/論理的、と真逆な印象で興味深かったです。Maison book girlという当時まだ不安定な素材の輪郭を、監督が探り当てようとしている印象。和田輪さんの「メガネなし」はつじあやのの「メガヌード」(例えば古くてすみません、何だったんでしょうあれは?)のようで、ありだと思いました。(西島大介/漫画家)

多重人格の治療行為中の主人公の心の中を一軒家に住む4人のキャラクターで描き分け、音楽治療行為をMasion book girlが演じる白い妖精たちで表現した構成など50分足らずの尺の中でそつなく纏めている。(松村厚/第七藝術劇場)

抽象的な事象をドラマとして再構築する意欲も、音楽の関わり方も楽曲自体も、すごく魅力的だったのですが、結局Maison book girlの印象があまり残ってなくて…(彼女たちが人格を演じるんじゃダメだったのかなぁ)。前フリが、小根山悠里香×サクライケンタだったら納得したのかなぁ…それって同じことかしら?(溝口徹/横川シネマ!!)

治療を受けている部屋の2つの窓から見える色の違う風景が、2つの別空間にも見え、それがとてもこの話(複数ながら二組の心の持ちよう)を示唆しているようにも思え興味深かった。時々説明的なショットが気になったり、ぼやけた顔の処理をもう少し何かできなかったかなあ等と思って観ていたが、監督の映画をつくるぞ!映画にしたいという気持ちが伝わってくる作品だった。(菅原睦子/仙台短篇映画祭)

白い服の女子たちの存在が何なのかが遂に分かりませんでした。ひとりの女性の中で事態が展開していくわけですが、その女性にとって何が問題なのか、それがどうなっていっているのかが判然とせず、映画として消化不良でした。3つの人格の女性たちが、実体の女性の自立によって存在が消えるということがこの作品の問題の焦点だとすると、そもそもその3つの人格がどこから来たのかが明かされていないので、彼女たちが消えることに対し、観ているこちらは切迫感を感じることができず、そこも問題だと感じました。(田中誠一/立誠シネマ)

オノ・ヨーコの「カットピース」という作品の映像を見たことがある。客が舞台上のヨーコの服をハサミで切っていくというパフォーマンスだ。女性の服が切られることの意味は、男性のそれとは全く違う。主人公の心の中の家に住む4人(3人と1羽?)はそれぞれに個性的な服装をしている。まるで武装するように。そして対象的に、音楽のように心に入ってきたブクガの4人が来ているのは真っ白なシャツだ。その白さは静かな光のようだった。(榊原/シネマスコーレ)

静かで硬い画で、まろやかな光が射していました。決してやさしくはない世界を鏡のように映した部屋で、その緊張感が抜けない芝居が、今の日本らしさを映しているように思えて辛かったです。ブクガの四人はそれを感じず猫のようにのびのびしていて、本人たちの良い意味で図太いところが伝わってきました。
部屋の描写は、難しいとは思うのですが、押し入れの寝床のように生活感が出るところと、ダイニングのように生活感が出ないところがアンバランスで少し気になりました。小根山さんの存在感は良かったです。(コムアイ/水曜日のカンパネラ)

松本でロケーション撮影をしたということを抜きにしても、美しい映像による端正な作品。強い印象を残しはしないものの、出演する女の子たちはみな可愛らしく、音楽も単体として可愛らしいが、それが物語世界と調和も化学反応もしていないのが残念だった。(松本CINEMAセレクトSTAFF一同)

3つ、そしてもう1つの人格と白い少女たち。その登場の謎も映画を観れば何となく分かるようになる。音楽の使い方もすごくいい。絡み合った心の糸を少しずつ少しずつ解いていく様子を、女性たちが登場する映像と共に音で表現する。こんな音楽と映画のコラボレーション、これまでのMOOSIC LABであっただろうか。小根山監督の優しさに触れた気がします。(井上経久/新潟シネ・ウインド)

多重人格治療の中で、複数の人格は存在を消さないようにもがきながらも人格を生んだ主人たる女性を守ってる。所在なき存在。存在なき所在。自分自 身の混乱する頭の中で白い少女が駆け回っていました。感覚的、視覚的に楽しめましたが、多重人格という複数の人格ならばもっと多様性がほしかったです。(家田祐明/K’s cinema)

マイカットにふれるまえに。わたしは「14歳」という映画の大ファンで、何度も何度も繰り返し観ている群青色中毒者である。冒頭の病院でのやり取り、先生とミエコの会話のテンポ、声のトーンであの映画を思い出して嬉しくなった。(山﨑花奈美/MOOSIC LAB札幌編主宰)

未着(九龍ジョー)