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ライブハウス レクイエム(2015)

MOOSIC LAB 2015 公式出品作品

『ライブハウス レクイエム』

監督・脚本・編集:松本卓也|音楽:マチーデフ、バクザン、チャンベビユウコ、YUME|撮影・照明:岩崎登|制作:青柳智|地元プロデューサー:きよ里|出演:マチーデフ、CYBORG KAORI、森下由美 (だるま食堂)、イグロヒデアキ、バクザン、島隆一、巴山祐樹、岡田美香、チャンベビユウコ、倉田奈純、伊藤あすか­、西尾美鈴、中村博和(NAMARA)、後藤龍馬ほか

★各地の映画祭で観客を沸かせ、注目される松本卓也監督が、実弟にして『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』にも出演したラッパー”マチーデフ”と日本最強の女性ビートボクサー”サイボーグかおり”のコンビで参戦!名物オーナーが亡くなり、閉店を余儀なくされた地方のライブハウス。追悼ライブのために奔走する店長とスタッフ、そしてミュージシャンらの姿を描く。
(カラー/71分)

◉松本卓也

東京都出身。映像製作団体「シネマ健康会」代表。十代の頃からお笑い芸人として活動、コンビ解散後に完全独学で映画制作の道へと進む。『ノーマネー、ノー真似。』の精神でオリジナリティ溢れる作品を創作、全国各地の70以上の映画祭で入選・受賞を果たす。

◉マチーデフ&サイボーグかおり

松本監督短編『帰ろうYO!』で初共演。今作で再びタッグを組む。【マチーデフ】ラッパー。書籍「ラップの教科書」著者。ラップの先生としても幅広く活動中。【サイボーグかおり】ヒューマンビートボクサー。役者として園子温監督『リアル鬼ごっこ』にも出演。

※審査講評

「巧い」が、松本卓也×マチーデフ兄弟の実力を考えると「惜しい」印象の方が上回ります。もっと本領発揮していたら、コレを第一席にしたかったんだけどな~。コンセプトはすごくいいと思う。多ジャンルの音楽を陳列できる場所設定、何より「ハコ」や「コヤ」文化としての音楽というのが映画(館)のアナロジーにも見えるところがグッときます。ところがドラマ進行があまりに「泣き」に引きずられて、タメが長すぎるのではないか。そのせいで、リーサル・ウェポンであるはずの主演女優サイボーグかおりさんの見せ場が極端に少なくなってしまっている。もっと高密度な祝祭空間で、『glee/グリー』や『ピッチ・パーフェクト』的なノリの続編を作って欲しい!(森直人/映画評論家)

台詞が良かったです。「ロックとかロックンロールとか誤摩化した言葉が大嫌い」とか、「もっと現実見ろ、足元見ろよ」とか。松本卓也監督は昔、彼女をロックミュージシャンに寝取られでもしたのでしょうか(笑)。それくらい切迫感があって。サイボーグかおりさんは、ひたすら受けて、受けて、受けまくって、そしてボイスパーカッションで撃ち返す。『いいにおいのする映画』のmicciさんと同じく、ミュージシャンならではの、「もっと見たい」と思わせる佇まいがありますね。(田辺ユウキ/ライター)

クセ者揃いのMOOSIC LABの中で、なんて真面目なドラマなんだ!というのが第一印象。ライブハウスを舞台としているが、古き良きドラマの形態を取っているため舞台が町の食堂でも商店街の八百屋でも置き換え可能なところが残念。登場人物の「顔」がみんな良かったです。マチーデフはその顔でなければその役が成立しないほどの良さだったので、男優賞に選出しました。(林未来/元町映画館)

なんだろう松本監督の過去作「マイツイート・メモリー」「ペーパーロード」「帰ろうYO!」を観る度愛憎入り混じった感情が湧いてくるのはなんでだろう。「夢という呪いにかかった人たち」「何者かになろうとする人間と立ちはだかる現実の間に起こる摩擦」「家族の和解」などイチボンクラ男子としては超ツボである題材を扱っているので、アナルファックしてもいいぐらい好きになるはずなんだけど。どうも安全圏内に落とし込もうとする姿勢が随所に見受けられ解せないんだよね。今作は余りに露悪的な悪役がどうしても府に落ちずずっともやもやとした気持ちを抱えながら観ていました。ただ、最後のある種の外し演出に若干溜飲下がりました。なんだかんだで、映画作りというリングの上で葛藤や鬱屈とした想いを抱えながら戦っている松本監督を応援したい自分がいる。大下直人(Kisssh-Kissssssh映画祭)

多分、監督はそこそこ器用な人なんだろうな、と思います。(飯塚冬酒/横濱HAPPY MUSIC!映画祭)

オーナーからの愛、オーナーへの愛、松本監督のミュージシャンや役者さんたちへの愛、音楽への愛をスクリーンからたくさん感じて、泣きました。サイボーグかおりさんの涙と笑顔、マチーデフさんのラップで、さらに泣きました。いろんなジャンルの音楽がライブハウスに集い、まさに“音を楽しむ”映画でした。マチーデフさんのラップをもっと聴いてたかったし、ラストシーンにもっと浸っていたかった。(下北沢映画祭運営委員会/田村)

中央発信でもなくなりつつある今の時代、地方のライブハウスが死んでるというリアリティが全くないので、なんで今こんなテーマで作品つくるんだろ?という疑問。マチーデフとサイボーグかおりのミュージシャンとしての良さは全く出番ない変わりに、役者としてのマチーデフは光っていたので男優賞を推しました。(黒澤佳朗/G-Shelter)

ロック嫌いのライブハウス店主とそれを取り巻く人間模様音楽模様なのですが、なんというか、あまり僕には感想がなく・・・。新潟という僻地、ライブハウスや音楽、文化がないという設定はわかるし、サイボーグかおりさんも映画映えしていますし、エンディングのマチーデフさんの顔のアップは『戦場のメリークリスマス』のビートたけしのようにも思えますが、果たして何のための映画かよくわからず。測定不能でした。(西島大介/漫画家)

よくありがちなお話ですが手堅い感じで良かったです。(松村厚/第七藝術劇場))

一昨年のMOOSICにエントリーした「トムソーヤーとハックルベリーフィンは死んだ」に寄せて書いた一文、「たくさんの孤独が寄せ集まって大きな熱を放つような、熱い印象が残る作品」。後から思えば、それは僕が好きになってしまう「映画」の傾向であり、自分が思う「映画館」の理想的なあり方でもあるのですが、ともかく、この映画を見て、その一文を思い起こしました。それは、新潟を舞台にした同じオール地方ロケ作品だったからか、主演マチーデフの顔立ち(メガネ?)に橋野純平を思い出したからか、ライブハウスの場末感に映画館を重ね合わせたらか(実際、横川シネマはあの映画の撮影後に改装し、魂のみ残して姿形は亡くなりました)、この2作品を引き寄せながら拝見することになりました。但し、決定的に異なっていたのは、「トムソーヤーと…」は作劇が完全に破綻してしまうのに対し、本作は見事にドラマが完結していることでした!オーナー追悼ライブのタイムテーブルに沿って登場する数多くのキャラクターの心情や関係性の変化が、それぞれの楽曲はもちろん、細かなフリや伏線の回収など的確なカードの切り方で明快に伝わって来る上に、個々の要素が雪だるま式にクライマックスへのボルテージを上げる布石として効いている構成は見事だし、役割の大小に関わらず隅々まで目配せが行き届いていて群像劇として気持ちよかったです。失われゆく居場所をノスタルジーではなく若者たちの巣立ちとしてポジティブに描いた上で、冗談めかした不敵な幕切れ。秀才の映画だと思いました。
コンペ審査中、この時点では、この秀才ボクサーを倒してしまう「一発」を持った相手が登場することを願っていたことも、野暮ですが告白しておきます。 (溝口徹/横川シネマ!!)

ドまんまかにボールを投げてみた!という作品だと思った。物語も構築の仕方も、カメラの捉え方も正統派という感じの作品。私は感情移入して映画を観ることはほとんどないのだが、主人公はみんなかな?というくらいどの人にもスポットがあたっていて、群像劇とはどこか違うややくどさは残った。また終りそうで終らないラストが、この映画のテンポというかリズムに今ひとつ乗り切れずに終った。棺桶はあんなに軽くはないぞと思いながら、運び出し駆けるシーンは、青春映画のように清々しかっただけに、もったいない感じがした。(菅原睦子/仙台短篇映画祭)

こういう「ええ話」をやろうとすると、細部を繊細に周到に描かないと「嘘」になってしまうと思います。ライブハウスのリアリティというか、「におい」があればよかったのですが、それは感じられませんでした。ラストはどうしても尻切れトンボに感じます。(田中誠一/立誠シネマ)

驚くべき才能が登場した。負い目を背負った若者たちへの視線が熱い。切れ味の良い編集と絵の切り取りに脱帽する。(木全/シネマスコーレ)

叫んだり、罵ったり、という声が多くて心臓に悪かったです。カット割りのリズムが悪いのもよくなかったです。特にライブの決めシーンは、カメラワークをあまり変えない方がぐっときたりすると思います。オーナーのメッセージも良いのですが、もうひとこえ欲しいです。(コムアイ/水曜日のカンパネラ)

器用で手慣れた演出により、「MOOSIC LAB」という枠外であれば、賞に絡んでもおかしくないようなよく出来た作品だが、フィーチャーされるべきマチーデフ&サイボーグかおりの音楽が魅力的なだけに十分に活かされていないのが残念。ボイパなら「喋れる」という設定ももっと物語に組み込まれてもよかったのではないか。ただ、(おそらくは三条市というロケ地から産まれたであろう)「地方のインディーの痛さ・切なさ」というテーマは、「MOOSIC LAB」を超えて、刺さる人には刺さるだろう。(松本CINEMAセレクトSTAFF一同)

MOOSIC LABで松本卓也監督の映画を観ることができて嬉しい。これまでも多くの作品を新潟で上映してきた松本監督。しかも今回は新潟県三条市で撮影と聞き、観る前から興味津々だった。この映画、恐らく音楽のみならず映像関連も含め、作り手であればもっと楽しめ考えさせられるではないだろうか。ライブハウスのオーナーの追悼ライブという設定もあり、バラエティに富む音楽が映画を通じて楽しめる。ただ(身内の追悼ライブだから仕方ないかもだが)演奏者・表現者の事情や悩みの吐露のような話の内容は、映画館員として観客の立場を想像すると「楽しめるのかな」と考えてしまった。出演者の中ではマチーデフさんが良かった。ミュージシャンで選ぶべきなのか悩んだけれども、今回は男優として選ばせてもらいました。(井上経久/新潟シネ・ウインド)

ライブハウスに集まる仲間たちの人情ドラマがソツなく描かれてますが、もっとバンドマンもお客もいてほしいです。オーナー泣いてます。(家田祐明/K’s cinema)

東京から田舎へ戻ってきた男の焦燥感と、彼らを受け入れる「母」、ライブハウスのオーナーの関係性が良い。追悼ライブでは様々なジャンルの音楽が盛り込まれており、ラストシーンのマチーデフ&サイボーグかおりによるレクイエムは心を揺さぶられる。山﨑花奈美(MOOSIC LAB札幌編主宰)