嬉々な生活(2024)

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024国際コンペティション部門:審査員特別賞&SKIPシティアワード
第25回TAMA NEW WAVEコンペティション:ベスト女優賞(⻄口千百合)
第22回うえだ城下町映画祭:実行委員会特別賞
第37回東京国際映画祭:招待上映
Nippon Connection2025 Nippon Visions:招待上映
2025.6.27(金)-新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
お母さんが死んで、お父さんが壊れてしまった。 私はここに立っているーーー。“若手映像クリエイターの登⻯門”として 知られるSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024審査員特別賞・SKIPシ ティアワードW受賞作『#嬉々な生活 』は、磯部鉄平監督の作品『凪の憂鬱』(22)『夜のまにまに』(23)などのプロデューサーで、これが劇場デビュー作となる #谷口慈彦 監 督のオリジナルストーリー。大阪の団地を舞台に、最愛の妻を失ったダメージ で万年床から出られなくなった父・賢介と、父や弟妹のケアを一身に背負うこ ととなった逞しい中学生、嬉々の日常を描く。一家を取り巻くのは、ハラスメン トの言動に無自覚な同僚教師への嫌がらせがやめられない嬉々の元担任や、 賢介の行動に怒りと疑問を持つ同じ団地の住⺠。そんな大阪の土地柄を反 映した、距離が近くてお節介で、どこか不器用な大人たちが織りなす人間模 様を、嬉々のクールな眼差しが責めるわけでもなく、慈しみと優しさで浮き彫りにしていく。 劇場公開決定を受けて解禁されたポスタービジュアルは、母親の遺骨を 手にした嬉々の写真に、家のベランダいっぱいに育てられている、母親との思 い出でもある色とりどりの花や弟妹が描いた絵をあしらった1枚。一見かわいらしいビジュアルでありながら、 「大人ってそんなに強いんですか?」という嬉々目線の強いキャッチコピーが、彼女の秘めた葛藤を伝えている。そして予告編では、元担任からお金を借りたり、怪しいバイトをしようとしたりと、経済的 に困窮する一家を支える嬉々の日常を収めた前半から一転、後半には、父を後ろに乗せ自転車で爆走する嬉々や弟妹の生き生きとした姿が収められている。
▼コメント ※順不同・敬称略 「ヤングケアラーがテーマの映画、最近多いなあ」と漠とした不安とともに映画を観始めたが、すぐにそんな不安は吹き 飛んだ。矛盾だらけの人間をちゃんと理解し、かつ的確な距離をもって描く谷口監督の眼にすっかりやられてしまった。 人間をしっかり描けば自ずと社会が浮かび上がってくるということを『嬉々な生活』は証明している。 映画の終わらせ方もこれまで観たことのない類の、見事なものだった。どうか観てほしい。 ー #横浜聡子 (映画監督)
その一瞬でしか切り取ることの出来ない衝動と、谷口監督の俳優たちへの優しい眼差しが見た者の心を撃ち抜く。映 画を見終わって息遣いが荒くなるほど爽やかな、おっさんの私でさえ今すぐ走り出したくなるような余韻。 この映画のラストシーンは必見です。 ー 白石和彌(映画監督)
どこにでも在る出来事、ひと。皆ずっと同じではいられない。時間は残酷だが救いでもあって、すべての人間に等しく降 り注ぐ。要らない時間や人間なんていやしない。そう信じさせてくれる魔法がこの映画にはかかっている。 ー 川瀬陽太(俳優)
私は洋画配給が主な仕事なので、本当は洋画の味方でいたいのですが。谷口慈彦監督の映画にはやられました。 あのラストのシークエンス。瞬間が永遠になるのを目撃し、体力ゲージもメンタルゲージも一気に爆上がりしました。誰 にも撮れない映画だから、1人でも多くの人に見てほしい。 ー 武井みゆき(配給会社ムヴィオラ代表)/2024SKIPシティ国際Dシネマ映画祭審査員)
“A life that is full of love that it breaks your hearts. Beautifully made, and will not be easy to forget.” 心が張り裂けるほどの愛に満ちた人生。美しく作られており、決して忘れられないでしょう。 ー メイスク・タウリシア(映画プロデューサー)
人と同じように映画とも素敵な出会いがあるもの。『嬉々な生活』は、そんな思いを抱いた作品だ。主人公の嬉々 (きき)という名前は、『魔女の宅急便』のキキが由来であることも、タイトルが『嬉々の生活』ではなく『嬉々な生活』 であることも、谷口監督がこの作品に込めた思いとして、観終わった後、じんわり広がってくるものがある。ダメな父親や、 境遇に負けず生き抜く嬉々の演技・演出は、お見事!暗闇のなかで予想外の行動をとる嬉々とラストシークエンスは、 圧巻です!! ー 荒木美也子(アスミック・エース・プロデューサー)
最愛の母を亡くした家族。団地の一室で過ごす生活、沈黙する父、それを支えようとしたり、遠ざけようとする周囲̶ ̶そんな最小単位の家族(世界)を丁寧に映しながら、失業や孤独、喪失といった日本社会を覆う不安や孤立ま でもが滲み出てしまう。 しかし、谷口監督は、嬉々の「正しさ」に追い立てられた生活の脆さに焦点を当て、ベランダから覗くような限られた視 界に、それでも確かに何かが芽吹こうとする気配をとらえていた。不器用ながらも差し出される手があり、言葉にされな いまま寄せられる思いやりがある。誰かを思う静かな気配が、沈黙のなかに幾重にも重なっていく。 わたしは、ラストカットで駆け出す嬉々の背中姿を見送って、 ファーストカットのホームビデオで見せた嬉々の笑顔をもう一度見返した。彼女はこれから、人生の「痛み」と「願い」を 一つにして引き受ける力強さをもって駆け出していくだろう。 ー 小川あん(俳優)
⻄口千百合、川本三吉、渡辺綾子、毛利美緒、石橋優和、竹内大騎、中田彩葉、辰寿広美、デカルコ・マリィ、時光 陸 / 内田周作
監督・脚本:谷口慈彦/プロデューサー:和田裕之/製作:谷口慈彦/制作:時光 陸/撮影・照明:小林健太/録音・整音:杉本崇志/助監督:高木啓太郎/美術:平井良実 ヘアメイク:佐藤志保/スチール:牧野裕也/音楽:山城ショウゴ/編集:磯部鉄平/谷口慈彦 宣伝美術:東かほり/宣伝:平井万里子/配給:SPOTTED PRODUCTIONS/制作プロダクション:belly roll film 2025年/カラー/ステレオ/DCP/91分