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俺たち文化系プロレスDDT(2016)

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第29回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門“アウト・オブ・コンペティション場外乱闘編”正式出品作品

『俺たち文化系プロレスDDT』

出演:出演:マッスル坂井 大家健 HARASHIMA 男色ディーノ
高木三四郎 鶴見亜門 KUDO 伊橋剛太 今成夢人/棚橋弘至 小松洋平

監督:マッスル坂井 松江哲明|製作総指揮:高木三四郎|撮影:今成夢人、福田亮平、中村祐太郎、松江哲明|編集:今井大介|整音:山本タカアキ|音楽:ジム・オルーク|助監督:今成夢人|編集助手:小守真由美|カラリスト:田巻源太|タイトルデザイン:小林友|制作:DDTプロレスリング|配給:ライブ・ビューイング・ジャパン|宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS    カラー/74分/16:9/5.1ch ©2016 DDTプロレスリング

 

大人になりきれない男たちのイタくてちょっと切ない青春ドキュメント

2015年11月17日、DDT後楽園ホール大会のメインイベントで、DDTのエース・HARASHIMAと、新日本プロレスのエースにして、“100年に1人の逸材”とも呼ばれる棚橋弘至がタッグで対戦した。
 この試合は、男色ディーノとスーパー・ササダンゴ・マシン、大家健の三人によるDDT内ユニット「#大家帝国」が、同団体の人気投票(「DDTドラマティック総選挙2015」)のユニット部門で第1位を獲得したことにより実現したのだった。賞品としてユニット興行権を手に入れた彼らは、2010年にいったん幕を閉じたマッスル坂井(スーパー・ササダンゴ・マシン)によるプロレス興行「マッスル」の復活と、8月にDDT両国大会で一度闘い、しこりを残したHARASHIMAと棚橋の再戦を訴えたのである。
 それは、仲間であるHARASHIMAへの思いの証しであるとともに、それぞれが長年、DDTのレスラーとして培ってきた意地と覚悟の表明でもあった。
 DDTとは、「Dramatic Dream Team」の略。1997年に現・社長兼レスラーの高木三四郎を中心に、たった三人で旗揚げされたプロレス団体だ。草創期には専門誌に取り上げられることも少ない弱小団体だったが、体育会的な発想が根強いプロレス界において、文化系的な発想力で大胆にエンタテインメント要素を持ち込むDDTのスタイルは徐々に観客の支持を広げていき、いまでは、業界の盟主・新日本プロレスに次ぐ規模に成長。現在のプロレスブームの一翼を担う団体といっても過言ではない。
 同時に、そこに至るDDTの歴史は、高木のもとに結集した個性豊かな才能たちの賜物でもあった。デビュー時は子供向けマスクマンだったHARASHIMA、男色殺法を駆使する人気者・男色ディーノ、引退して実家の金型工場に就職したもののパートタイムで復活したマッスル坂井、ディーノをして“最も棚橋の知らないプロレスをする男”と言わしめる大家健――。
 しかし、どこまでいっても立ちはだかるのが、メジャー・プロレスと人生の壁。はたしてプロレスで物事は解決するのか? やっぱりそんな訳はないのか? 彼らはそれぞれの思惑を抱えながら、後楽園ホールのリングへと向かう。
 監督は、本作の出演者であり、前作『劇場版プロレスキャノンボール2014』(2014)もスマッシュヒットした鬼才・マッスル坂井と、かつて坂井主宰の「マッスル」によってプロレスの魅力に目覚めたという日本を代表するドキュメンタリー作家で、『フラッシュバックメモリーズ 3D』以来4年ぶりの映画作品となる松江哲明。奇しくも同い歳である二つの才能がタッグを組むことで、大人になりきれない男たちの、イタくて切ない青春ドキュメンタリーがここに誕生した。(text:九龍ジョー)