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月極オトコトモダチ(2018)


6.8(土)-新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、イオンシネマ板橋ほか全国順次公開!
【第31回東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門正式出品作品】【MOOSIC LAB 2018 (長編部門) グランプリ・最優秀男優賞(橋本淳)・女優賞(徳永えり)・ミュージシャン賞(BOMIと入江陽)受賞】

『月極オトコトモダチ』

徳永えり、橋本淳、芦那すみれ、野崎智子、師岡広明、三森麻美、山田佳奈(□字ック)ほか

監督・脚本:穐山茉由|音楽:BOMI、入江陽|撮影:中瀬慧|照明:秋山恵二郎|録音:戸根広太郎|編集:小出豊|助監督:登り山智志、市川昂一郎|制作:地良田浩之|ヘアメイク:菅原美和子|衣裳:工藤 祐司|企画:直井卓俊|共同プロデューサー:永野貴将|カラー|STEREO|78min

ひょんなことから出会ったアラサー女性編集者とレンタル男友達。果たして男女の友情は成立するのか?同居人のミュージシャンも巻き込んで物語は思わぬ方向へ…。前作が田辺・弁慶映画祭に入選の穐山監督が恋愛未満友情以上で悩める男女を等身大の眼差しで見つめた一作。

◉穐山茉由(あきやま・まゆ)

1982年生まれ。東京都出身。ファッション業界で会社員として働きながら、30代はやりたいことやろうと思い立ち映画美学校で映画制作を学ぶ。監督作『ギャルソンヌ -2つの性を持つ女-』が第11回 田辺・弁慶映画祭2017入選。本作が長編デビュー作品となる。

◉BOMI(ボーミ)

2012年メジャーデビュー。リリースを重ね、2015年にはサマソニ、ロックインジャパンなど夏フェスにも出演。最新アルバム『AB』は自身を深く掘り下げた意欲作となり、劇団の役者たちとアルバムをフィーチャーしたライブも大成功を収めている。

◉入江陽(いりえ・よう)

1987年生まれ。シンガーソングライター。近況:映画「最低。」(瀬々敬久監督)の音楽を制作。さとうもかのアルバム「Lukewarm」をプロデュース。雑誌「装苑」にて配信番組についてのコラムを連載中。自身の4thアルバム「FISH」発売中。

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◼︎審査員講評

映画と音楽も上手く絡み、キャスト陣も達者な顔ぶれで、どこをぶった切ろうが巧さと安心感さえあるトータルバランスの長けた『月極オトコトモダチ』。レンタル男というアイデアも面白い。ドラマの中で自然発生する音楽もさり気なくドラマに溶け込み、その優しいメロディーはラヴィンユーでも聴いいてるようで、映画、音楽のコラボが心地よいバランスの取れた作品でした。ーーー家田祐明(K’s cinema)

構成要素すべてがプロの水準の逸品。BOMIの音楽と物語の鮮やかなシンクロ具合をはじめ、演出、脚本、役者、撮影、衣裳の細部に至るまで、全セクションが隅々まで噛み合って作品のテーマに還元している。文句なしに次回作が最も観たい監督である。ーーー岩田和明(映画秘宝/編集長)

映画らしいちょっと突飛な出来事を、地に足のついた演出でリアルな日常を描いた作品に仕上げている。出来が良い分、もうちょっと逸脱した部分も見たかったかな。安定感のある徳永えりと橋本淳が土台となり、その上で踊る芦那すみれの音楽そのもののような存在感が素晴らしい!五線紙の音符のようでした。ーーー林未来(元町映画館)

レンタル友達という契約関係から始まる男女の友情、そして恋愛を巡る物語。物語への音楽の取り込み方が絶妙。さながらセッションするような軽妙洒脱さで話を進めていく。入江陽の劇伴の相性が抜群。主要三人のアンサンブルも素晴らしく、あらゆる要素がハイレベル。全体のパッケージ感というか、監督のバランス感覚、センスの良さを感じた。ーーー下北沢映画祭実行委員会

『恋のツキ』同様、結婚できないアラサー女性に徳永えりさんを起用したのが大正解。彼女の可愛さが爆発していた。ジョン・カーニー監督の様に楽曲の誕生過程を少しずつ描くのが上手い。映像、音楽、あらゆる面がオシャレ。美男美女が主役で、いかにもご都合主義の物語なので、嫌いな人は嫌いかもしれない。ーーー映画チア部

テンポ、シーンの切り替えがちょうど良く、飽きず、早過ぎず、絶妙でした。そのため非常に観やすい。台詞、シーンのひとつひとつが印象に残って、余韻ともに「良い映画観たなあ」という一作。また、音楽が非常によくBOMIと入江陽が心地良い。テーマ曲「ナニカ」も、映画に寄り添いながら音楽としても独立している。観終わったあと、すぐにダウンロードしてしまうほどでした。ーーー久保泉(TOKYO CUTUART by BEAMS)

とても完成度の高い作品だったと思います。音楽も心地よく、制作過程の描写にも臨場感があって良かったです。ただ一方、面白そうな題材ではありますが、展開としては特別な驚きもなく、想像の外側には至らない感じを受けました。ーーー勝村俊之(シネマ・ロサ/企画・編成)

橋本淳さんのキャスティングは素晴らしすぎる、文句なし。徳永えりさん演じる主人公と同じように監督自身にもこのテーマに対する答えが明確に見つかってない感じがどこか親しみやすかったし、結局男女感の友情って成立すると思う?って見た人同士で議論したくなる。ーーー石田(元町映画館)

青少年の生きづらさがテーマの他作品群の中で、いい歳した大人がちっさい悩みを抱えているテーマが逆にリアルで斬新でした。音楽で恋愛を超越して欲しかったのですが、ちょっと納得できなかったかな。最後に一緒に映画観てた女性スタッフと語り、オトモダチになれたので、結局自分にとっていい映画だったのでは?という面も。ーーー黒澤佳朗( G-Shelter)

人間の心のうちにあるどす黒さを垣間見せながら、それでいて軽やかさを失わない、新しい日本の恋愛劇の可能性を観た気がします。自己実現への主人公の思いが、彼女を自然と行動にうながしていく脚本は、実によくできていると思いました。よくできているからこそ、ちょっとした筋の運びの強引さが、僕には気になってしまいました。ーーー門間雄介(映画評論家)

暁闇(2018)


7月、ユーロスペースほか全国順次公開!
【第20回全州国際映画祭ワールドシネマスケープ部門正式出品作品】【MOOSIC LAB 2018 【長編部門】準グランプリ・男優賞(青木柚)】

『暁闇』

出演:中尾有伽、青木柚、越後はる香、若杉凩、加藤才紀子、小泉紗希、新井秀幸、折笠慎也、卯ノ原圭吾、石本径代、芦原健介、水橋研二

監督・脚本・編集 阿部はりか|音楽:LOWPOPLTD.|撮影:平見優子|助監督:菅沼絵美|制作担当:伊藤希紗|照明:山口峰寛|録音:浅井隆。五十嵐猛吏|衣裳:藤井澪|ヘアメイク:田村友香里|スチール:飯田エリカ|企画:直井卓俊|カラー|STEREO|65min(予定)

本作が初めての監督となる阿部はりかが謎めいたミュージシャン・LOWPOPLTD.の楽曲からインスパイアを受け、中尾有伽、青木柚、越後はる香らフレッシュな俳優陣たちと作り上げるダークでセンチメンタルな青春映画。

◉阿部はりか

1995年生まれ。演劇ユニット「はりか」を主宰し、全ての脚本と演出を担当。 本作が映画初監督となる。

◉LOWPOPLTD.

2016年8月16日から活動中。64MIND所属。

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◼︎審査員講評

三人の若者の心の喪失を描き、環境音楽のように微睡む音が包み、繊細な表情を持つ作品でしたが、それを一変させる打ち上げ花火に一気にやられました。映画と音楽のぶつかりとは違えども、花火という奇跡的瞬間破壊力が起こした化学反応は凄まじい。それは構成された物語に於いても、喪失する三人の心のノイズを吹き飛ばし、一つにし、物語を展開させた。狙ったのか偶然かはわからないけれど、映像と音という今までにない化学反応が体験できた。ここ数年、映画と音楽が生むその先に飛ぶことを体験できなかった者としては嬉しい。ーーー家田祐明(K’s cinema)

劇中で打ち上げられる花火は、この奇跡の結晶のような作品の誕生を祝福しているかのように思えた。ーーー下北沢映画祭STAFF

屋上の印象的な風景といい、美しい花火のシーンなど、非常に映画的な画作りで素晴らしかったです。屋上の建物の姿からなのか、まるで真っ暗な海に放り出されたような登場人物たちの世界を感じました。そして何よりもかすかに見える光のように希望が訪れてくれて本当に良かったです。ーーー勝村俊之(シネマ・ロサ/企画・編成)

ありふれた設定だが、得体の知れない内に秘めた監督の業が画面のいたるところに灼き付いている。ダイアモンドの原石感は21本中ピカイチだ。渋谷区円山町ロケ(ゲリラ?)にも目を奪われた。ーーー岩田和明(映画秘宝/編集長)

音楽のかかり方がエモーショナルでとても合っているな、と感じました。三人が四角に入るシーンが絵になっていて美しかった。バラバラで、どこか孤独、どこか闇を抱えた三人が、その沈黙から解き放たれる瞬間がきっと、彼女彼らの居場所だったように思えます。学校でも家でも駅でも彼女でも男でも本でもない、花火が居場所だった。中尾有伽さんの涙が今も目に映っています。ーーー久保泉(TOKYO CULTUART by BEMAS)

映像は素晴らしく綺麗。あの屋上どこにあるの?って元制作部の血が騒ぐぐらい。しかしそれだけに、ストーリーラインが少し古臭感じてしまった。居場所がない、という孤独を表すのに援助交際だのリストカットだのという描写は少し乗れなさを感じてしまう。ーーー石田(元町映画館)

傑作になり得る可能性を秘めながら、そこまでたどり着けていない道半ばの感じ。絶望を知らない者が闇を描こうとしたインスタント感が拭い去れず。青木柚くん=LOWPOPLTD.という設定ももっと活かしてほしかった。土手での花火は日本映画で一、二を争う美しいシーンで、印象に残るシーンや表情、言葉はたくさんあったので映画を撮り続けてほしいです。いつか傑作を撮る人だと思う。ーーー林未来(元町映画館)

不用意に扱えば簡単に壊れてしまいそうな少女たちの心を、繊細にすくい取っています。自然で抑制された芝居と、的確に切り取られた情景から、彼女たちの空気感や距離感、その移ろいが伝わってきました。あの花火のシーン、あんなふうに美しい場面はめったに観られるものではありません。ただ、孤独感や疎外感といった感情は、ナルシシスティックな表現に陥りがちです。それでいいのかもしれないし、その向こうに広がるものがあるのかもしれない。監督の次回作が楽しみです。ーーー門間雄介(映画評論家)