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MOOSIC LAB 2018 【長編部門】公式出品作品
『青のハスより』
出演:栗原類、大友律、渡辺佑太朗、The Wisely Brothers、清水くるみ
監督・脚本:荻島健斗|撮影:米倉伸|録音:菅原彩花|照明:藤井光咲|プロデューサー:松川隼人|企画:直井卓俊|カラー|5.1ch|81min
人気スリーピースバンド・The Wisely Brothersのライブツアーを追ったドキュメントパートと栗原類、大友律、渡辺佑太朗らが演じる若き映像作家の物語が交錯する。ファムファタール的な存在のヒロインを実力派女優・清水くるみが務める。
◎荻島健斗(おぎしま・けんと)
1992年生まれ、京都造形芸術大学卒。卒業制作『ロケーション・ハンティング』が映画学科優秀賞を受賞。イメージフォーラム主催のヤングパースペクティヴ2015にも選出され、高い評価を受ける。本作が初の長編作品となる。
◎The Wisely Brothers(ワイズリー・ブラザーズ)
都内高校の軽音楽部にて結成。真舘晴子(Gt.Vo)、和久利泉 (Ba.Cho)、渡辺朱音(Dr.Cho)からなるオルタナティブかつナチュラルなサウンドを基調とし会話をするようにライブをするスリーピースバンド。2018年2月キャリア初となる1st full album「YAK」発売。SUMMER SONIC 2018出演。
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◼︎審査員講評
外せなかったのが『青のハスより』。一つの物語とミュージシャンのプライベートビデオが並走し、物語も時間軸を行き来し混乱させるという凝った作りで、音楽との絡み合いも、並走する2つの軸も、絡ませないのにさらっとすれ違わせた。一見、どこがコラボしてるのかと思いきや、このユニークさは捨てがたい。ーーー家田祐明(K’s cinema)>/h3>
時系列の入れ替えや、敢えてエモーショナルな場面を寸断させる編集には賛否分かれると思うが、The Wisely Brothersのキュートさ、男性キャストたちの朗らかさに押し切られた。ラストに一瞬登場する辻凪子も良い。「何も無さ」を肯定するようなロードムービー。ーーー下北沢映画祭実行委員会
主役である栗原類の配役は完璧だった。また、序盤のユーモラスな関西弁が、終盤の切なさを際立たせていた。個人的にはラストの辻凪子に圧倒的な存在感を感じた。時系列の交錯、劇映画とドキュメンタリーの融合という挑戦的な作風であるが、その演出の必要性が薄いとも。 ーーー映画チア部
二つの物語が交わらないまま並行して進んでいくわけですが、そのそれぞれの顛末にかかわらず全体的に明るく描かれているところは非常に好感が持てる部分でした。ホン・サンスのような、あるいはアメリカ映画のオフビートな作品のような、大人が楽しめる”小粋なお話”であったなと思います。ーーー勝村俊之(シネマ・ロサ/企画・編成)
絵になるシーン、狙って撮っているのかなというシーンが非常に多く、岡山弁や掛け合いが妙に頭に残ってしまいました。基本的にとても静かな作品のように感じましたが、画面で物を言うところがとても映画らしい。男女三人組の、それぞれの、夢と現実、叶うと諦め、その対比が非常によく出ていました。ーーー久保泉(TOKYO CULTUART by BEAMS)
なんか見終わった後はドラマパートとドキュメンタリーパートが分離してるように感じてたんだけど、むしろドラマパートが描いてるものが現実でドキュメンタリーパートが描いてるものが夢物語のような、そんな気がしてきて不思議な浮遊感を感じました。ーーー石田(元町映画館)
時系列を切り刻み、物語がちょっと交錯する実験的な構成。意欲的ですが簡単に理解できず、魅力も掴めなかったので、コメント難しいです。役者さんは魅力的でした。ーーー黒澤佳朗(G-Shelter)
何気ない場面でも画がカッコ良く、「こう見せたい」という強い意識を感じる。ドキュメンタリーとドラマが交錯する構成は観る方にはわかりにくく、映画として物語に入り込めないままだった。ドキュメンタリーは特筆すべきこともなくごく普通だが、ドラマはかなり面白くなりそうな気がした。ドキュメンタリー部分が弱いので音楽も映画と伴走しきれず、といった感じ。ーーー林未来(元町映画館)
MOOSIC LAB 2018 【長編部門】松永天馬賞(新設)・ミュージシャン賞(松永天馬)・男優賞(松永天馬)受賞作品
『松永天馬殺人事件』
出演:松永天馬、冨手麻妙
監督・脚本・劇中歌:松永天馬|監督補:ALi(anttkc)|企画:直井卓俊|プロデューサー:松永天馬、ALi(anttkc)|アソシエイト・プロデューサー:上野遼平|撮影監督:ALi(anttkc)|撮影:小畑智寛|録音:岡本彗夢、浅井隆|美術:ALi(anttkc)、吉田健児|録音協力:柳田耕祐|制作協力:小峰克彦|制作応援:柳川礼子、大塚安希、三角由紀乃|メイキング・スチール:吉田健児|カラー/モノクロ|STEREO|60分(予定)
松永天馬を殺した犯人 Aとは一体誰なのか?犯人を追う探偵・冨手麻妙だったが捜査は混迷を極めていき…。鬼才・松永天馬が監督・脚本・出演・編集・音楽全てを手がける奇怪な「映画」にまつわる物語は、次第に迷宮入りしていき、前代未聞のラストを迎える…!
◉松永天馬(まつなが・てんま)
1982年東京生。音楽家にして作家にしてときどき俳優。”トラウマテクノポップ”バンド・アーバンギャルドのヴォーカルとしてデビュー。2017年、よりディープな詩世界、”男性”性に踏み込んだキャリア初のソロアルバム『松永天馬』をリリース。俳優活動と並行して自身も映像を監督、脚本、出演とこなす。初監督作品「血、精液、そして死」は自主映画の祭典「MOOSIC LAB 2017」の招待作品となる。また自身ソロやバンドのMVディレクターも多数担当。
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◼︎審査員講評
MOOSICLABという「映画と音楽の実験室」というお題に一番ストレートに答えているように思えました。そもそも映画は複製芸術なんですから映画館だけじゃなく、多様なメディアに展開していくことは自然な事ですよね。ただ、音楽は「ライブ」というその場限りの体験性を帯びる要素があると思っていて、それをどううまくねじ込むかということがMOOSICLABっぽさと思っていました。…で今回、「松永天馬殺人事件」ねじ込んでましたね、力技で。複製芸術って言いましたけど、映画には「映画館」という「事件」が起こる場所…ライブ性を担う所がありましたね。「チコちゃんに叱られる」風に言うのであれば「ぼーっと観てんじゃねえよ」ってところでしょうか。席に座っている限り、事件の目撃者にも、加害者にも、被害者にもなる。安全圏から引っ張り出してくれたこの映画はマジで発明じゃないでしょうか、感謝です!そして、いろんな意味で身体を張ってくれた冨手麻妙さんに圧倒的感謝。きちんと出演作はチェックします。あと、自分が観に行った回、ラストもの凄く戸惑っていたマスク付けたおじさんも忘れられないよ、それも感謝!ーーー大下直人(Kisssh-Kissssssh映画祭)3>
このエンターティナー振りには感服です。娯楽としての、劇場としての遊びを観客に届け、ムーラボのお祭りに華を添えてくれました。ーーー家田祐明(K’s cinema)
特別賞のためにあるような(笑)。「映画音楽」としてのクオリティは流石ガチでだんとつだと思う。「プレイメイト」って曲は最高だな。前半だけなら渡辺とのおっさんツートップでも良かったんだけど、後半の失速も味と言えば味。松永先生のひとりぼっちぶりを助手的に支える冨手麻妙さんが素敵でした。ーーー森直人(映画評論家)
もっとも面白かった作品でした。映画のその存在を問うために構築されるメタ構造も見事でしたし、実験としての表現も興行までを意識した新しさがあったとも思います。一方で、個人的には、観る者(観客)を含めた映画構造が、役者のセリフや演出の仕方によって初めから予見できるのはサスペンスとしては物足りなく、全体性から考えると後になって立ち現れた方がより驚きはあったのでは無いかと思いました。ーーー勝村俊之(シネマ・ロサ/企画・編成)
「女優の枕営業」や「アタシの出番、少なくない?」などの女優ネタの自意識モチーフを、実際に承認欲求の手段がいっぷう変わっている女優の冨手麻妙という素材の旨味を活かして、絶妙なギャグに加工しデコレーションを施した『松永天馬殺人事件』の創意工夫の姿勢こそグランプリに推したい。実際、楽曲の切れ味は言うに及ばず、『松永天馬殺人事件』の面白さは圧倒的だ。コメディでミステリで、ミュージカルで伝記映画で、ドキュメンタリーでアートで、LIVEで実験映画で、最終的には喜劇『愛のコリーダ』という挑発の狂騒娯楽活劇なんて、観たことがない。自主映画はこうでなくっちゃ。本作の批判で「独りよがり」というピントの狂った発言をする馬鹿を見かけたが、独りよがりで何が悪い。自主映画は独りよがりでなんぼだ。ーーー岩田和明(映画秘宝/編集長)
最優秀男優賞を与えざるを得なかったです。。笑 映画的か、と問われたらそうではない気がしますが、彼にしか作れない作品だと感じました。面白い手法を狙って撮っているので、ハマれば本当に中毒になりそうだなあ、と。音楽も非常に良かったです、やはり。ーーー久保泉(TOKYO CULTUART by BEAMS)
これはもう隅々まで松永天馬すぎて、映画として評価していいのか全くわからない!というのが正直な気持ち。ずっと大笑いして見てしまいました。冨手麻妙さんの魅力も天馬さんに負けじと輝いてました。ーーー黒澤佳朗(G-Shelter)
松永天馬にしか、それも一度きりしかできない松永天馬ショー。それが松永天馬のためにあるわけではないところに映画への愛と哲学を感じてはからずも感動してしまった。ーーー林未来(元町映画館)
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4.19(金)-4.25(木)UPLINK吉祥寺にて限定レイトショー
MOOSIC LAB 2018 【長編部門】スペシャル・メンション(日高七海)受賞作品
『いつか輝いていた彼女は』
出演:小倉青、mahocato・やすだちひろ・KJ(MINT mate box)、里内伽奈、日高七海、柳澤果那、日高陽菜子、野仲美穂、東吾優希、近永知里、柿沼美保、藤井咲彩、宮下絵美、谷川雛多、望月紗依、有泉愛衣、勝又啓太、十夢
監督・ 脚本・編集:前田聖来|劇中歌: MINT mate box|監督補・音楽:鯨岡弘識|助監督:岩瀬航、山本航平|撮影:原山星舟|録音:中尾功俊、岩瀬航|照明:島田翔、上田勇熙、稲生賢哉、岩瀬航|制作:ユ・ウンビ、野仲美穂|ギター指導:門野悠帆|カラー|スタンダード|35min
主題歌・出演に人気急上昇中のバンド”MINT mate box”×女優出身の新鋭監督・前田聖来のコラボで描く、女子高生たちの夢と嫉妬を切り取ったビターテイストな青春群像。ミスiDの小倉青主演を主演に迎え、女心の表と裏を軽快な会話劇で紡いでいく。
◉前田聖来
1996年生まれ。2010年から女優として活動。TVドラマやバラエティ、映画などで活躍した後、女優業を引退。「さわる」「朝にかえる」などの短編映画を監督し、映画製作を始める。現在は社会人1年目。
◉MINT mate box
2016年、mahocato (Vo)とやすだちひろ (Ba)、Kj (Gt) を中心に 東京で結成。同年夏、サウンドプロデューサーとして元”ふぇのたす”のヤマモトショウを迎えて楽曲制作を開始。ファッションデザイナーとしても活躍する”やすだちひろ” を筆頭に各方面 から注目が集まっている。
◼︎審査員講評
まだラフなぶんだけ伸びしろがでかそうな『いつか輝いていた彼女は』に強く惹かれてしまった。今回、女子高生メインだったり学園系の青春映画が全体の半数を占めており、それぞれ個性的で良かったのだけど、学校を舞台にすると「画が似てくる」きらいがどうしてもある。その点、前田聖来監督の目線の潜在的スケールは学校を超えているというか。女子同士の自意識の小競り合いやセコいパワーゲームを見つめるシニカル度数が際立っており、数年の推移ながら諸行無常の感触まで漂うところにおののきました。今度は35分じゃなく95分くらいの物語を書いて!ーーー森直人(映画評論家)
学校ってただでさえ、監獄、収容所っぽいのに地方で芸能科がある高校ってそれだけで地獄味が溢れてます。高校生なんて何にでもなれるし、何者でもないのに、「芸能科」という何者になることを求めてくるなんて自意識の生産ライン、フル稼働しているじゃないですか。おかげさまで女の絶妙なマウンティングを取り合う、さりげなくディスり合う会話の見本市に。「読モのくせにマスクする~?」「読モのオーディション受けていたらしいよ」とか彼女たちにとって「読者モデル」でも何者かになっている事がどれだけ脅威なのか痛いほど伝わってくる。地獄を見せられた後だから「最初すげえゆるいな」と思っていたmahocatoの言葉が全然違った印象に聞こえる。あと、抜け出せもしなかった小倉青演じる茜の虚無感たるや。「青春っていつも何かが足りない」と歌い、屋上でギターを壊すシーンはしばらく忘れられそうにない。この街の片隅で茜を見つけたいと思っている。ーーー大下直人(Kisssh-Kissssssh映画祭)
端正な絵作りと丁寧な演出。良い意味で優等生的な作品に2面性を持たせることで幅が大きく広がっているように感じた。なにかもうひとつ突き抜けたものがあれば。とはいえ、監督の今後が一番気になる作品だった。ーーー下北沢映画祭実行委員会
日高七海は伊藤沙莉に似た雰囲気を感じる。悪役が似合う。ムーラボ3作品に出演しており、その中で全く違う役柄があれば確実に推していたが、すべて同じ様な系統の役だったので他のタイプの演技も見てみたかった。ーーー映画チア部
去っていったものと残されたものを、過去と現在で比重を変えて描いていて、非常にうまいなと感じました。ただ、全体的なうねりがもう少しあったら、といった印象を持ちました。ーーー勝村俊之(シネマ・ロサ/企画・編成)
「彼女」とは、一体誰を指すのか。誰から見た「彼女」なのか、を考えながら観ていました。小倉青さんの存在感たるや!佇んでいるだけで絵になる映画になる君になる彼女になる。人生とは選択である、といつか誰かが教えてくれましたが、そのことをつよく思い出しました。こうだったかもしれない、そうだったかもしれない。けれど、それでも、「彼女」の眼光は輝いている。ーーー久保泉(TOKYO CULTUART by BEAMS)
小倉青さん、という存在をこの映画で初めて知ったのだけど恐ろしいほど画面の中心にいるのに相応しい。ここまでくるとただの願望なんだけど、死ぬまで気高い彼女でいて欲しかった。尺がもっと長ければ、と感じてしまうあたりが惜しい点か。ーーー石田(元町映画館)
女子のリアルの描写がすごいですね。。小倉青の佇まいの、ストーリーへの説得力がすごい。。MINT mate box と生きる映画になってるか疑問なので、とても惜しいな〜という気持ちです。ーーー黒澤佳朗(G-Shelter)
大きなギターを大儀そうに抱える華奢な身体。持ちきれないその大きさは青春そのもののようで、未熟な力で一度や二度叩きつけただけでは壊れてくれない、本当に荷が重い存在。女の子たちの会話は即興のような生々しい含意に満ちていて良かった。映画として成立しきれていないところが(長編部門なのに!)残念。ーーー林未来(元町映画館)
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MOOSIC LAB 2018 【長編部門】公式出品作品/第14回大阪アジアン映画祭 正式出品作品
『左様なら』
出演:芋生悠、祷キララ、平井亜門、日高七海、夏目志乃、白戸達也、石川瑠華、大原海輝、加藤才紀子、武内おと、森タクト、安倍乙、栗林藍希、田辺歩、武田一馬、田中爽一郎、本田拓海、高橋あゆみ ほか、柴田梨奈、近藤笑菜、塩田倭聖、高橋慎之介、こだまたいち、籾木芳仁、小沢まゆ|原作:ごめん|スチール:柴崎まどか
監督・脚本:石橋夕帆|原作:ごめん|撮影監督:萩原脩|録音:柳田耕佑|録音助手:浅井隆、岸本拓之|照明:中島浩一|助監督:田中麻子、泉志乃|美術:中村哲太郎|ヘアメイク:ほんだなお、藤原玲子、夢月、安藤メイ、渡部眞矢|スタイリスト:髙橋晴香|スチール:柴崎まどか|メイキング:岩崎高雄|車輌:小松豊生、中川駿、石橋和夫|ロケ協力:青木康至|編集:小笠原風|企画協力:直井卓俊|カラー|STEREO|80min(予定)
田辺・弁慶映画祭他多数の映画祭に入選している石橋夕帆がWEB上でカリスマ的な人気を誇る漫画家ごめんの原作を芋生悠、祷キララら注目の若手女優陣をW主演に迎えて映画化。音楽はシンガーソングライター佐野千明とアイドルユニット”・・・・・・・・・”の共作。
◎石橋夕帆(いしばし・ゆうほ)
2014年に制作された『ぼくらのさいご』が田辺・弁慶映画祭にて映画.com賞を受賞した他、複数の映画祭にノミネート。『水面は遥か遠く』がSHORT SHORT FILM FESTIVAL & ASIA 2017 >ミュージックショート部門奨励賞を受賞。
◉・・・・・・・・・
シューゲイザーを中心に、80年代パンクのカバー、ノイズなどの楽曲で歌い踊るアイドルグループ。メンバーはサングラスのようなもので顔が隠れており、名前も全員・。人それぞれ「ドッツ」や「ドッツトーキョー」「てんちゃん」などと呼んでいる。
◉佐野千明
静岡県出身。高校生の時から「乍東十四雄」「昆虫キッズ」などのバンドのライブやレコーディングに参加し、謎の女子高生と噂される。石橋夕帆監督『ぼくらのさいご』の主題歌・サウンドトラックも手がけている。
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◼︎審査員講評
長編の、女子学生を主人公にしている作品の中で私は一番好きだった。登場人物が多いが、それぞれの個性やストーリーがわかり、とてもリアルだった。リアルなことが必ずしもいいことではないが、この作品は、学生時代のつらさや特殊な人間関係について真剣に描こうとしてくれていると感じた。ただ、最後の、死んでしまった女の子が主人公に放つ「みんなだれのこともそんなに好きじゃない」といったようなセリフは、完全には理解できなかった。学生時代の表面上の付き合いの儚さのようなことを言っているのだろうか。また、個人的にタキノ役の田中爽一郎に光るものを感じた。ーーー映画チア部
終盤、ふたりで歩く海岸から詩の朗読への流れで、作品に対する気持ちがぐんと高まる。序盤の由紀と綾のとりとめのない会話の心地よさも思い出させられた。ーーー下北沢映画祭実行委員会
海辺のシーンなど美しく印象に残りました。ただ、好みの問題かもしれませんが、MOOSICの作品としては少し音楽の要素が弱かったのではないかと感じました。祷さんは短い出演でも非常にインパクトを残していますし、声のトーン含め、本当に印象深かったです。ーーー勝村俊之(シネマ・ロサ/企画・編成)
この尺でこの数の登場人物が出てくるのに、ちゃんとみんな生きてる。監督は主演の芋生悠さんのことがめちゃくちゃ好きなんだろう、そんな気がした。そういうのが滲み出てしまった作品ってどう考えても憎めない。ーーー石田(元町映画館)
事件も大した事件て事にならない、超ドライな世界。乾ききった田舎救いのない世界で、退屈から抜け出すこともなく、あとでちょっと良くなったくらいの世界。女の子みんな幸せになってほしいなあ、、って思います。。ーーー黒澤佳朗(G-Shelter)
刻一刻と過ぎ去る今この瞬間を何より優先する者が優位に立つ学校という箱の中で、友人が死んだことが引き鉄となって立ち止まる暇を手にした少女の(安直な哀しみではない)空虚さが、肌で感じる実感をもって表現されていた。数限りなく作品化された題材ながら、それらに「そうじゃない」と感じたであろう監督の強い意志が現れている。ーーー林未来(元町映画館)