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101回目のベッド・イン(2015)

MOOSIC LAB 2015 審査員特別賞/女優賞(ベッド・イン)

『101回目のベッド・イン』

監督:サーモン鮭山|脚本:当方ボーカル|音楽:ベッド・イン|撮影:宮永昭典|出演:破れタイツ(西本真希子、吐山ゆん)、ベッド・イン(中尊寺まい、益子寺かおり)、三元雅芸、渡辺佑太朗、深澤和明、竹本泰志、世志男、松浦祐也、津田篤、ミス・モンゴル、和田みさ、太田美乃里、倖田李梨

★新進気鋭の女性監督ユニット”破れタイツ”が、突如現れた謎の2人組”ベッド・イン”に撮影を乗っ取られて何故かトレンディドラマを撮るハメになり…。ピンク映画界からサーモン鮭山監督&凄腕の脚本家・当方ボーカルが殴り込み!90′sバブル期の輝きを現代で再生・更新するユニット”ベッド・イン”が堂々の銀幕デビュー!(カラー/70分)

◉サーモン鮭山+破れタイツ

アクの強いキャラクターでピンク映画等に出演。監督作は『恋のプロトタイプ』『EIKEN BOOGIE~涙のリターンマッチ~』『はじめての悪魔祓い』等コメディ多めのサーモン鮭山と、辛いことをも笑いに変えて走る女子2人、吐山ゆん・西本マキからなる、監督、脚本、出演全てをこなすガールズ映画監督ユニット”破れタイツ”によるムーラボ限定タッグ、堂々登場!?

◉ベッド・イン

日本に再びバブルの嵐を起こすべく、80年代末〜90年代初頭へのリスペクト精神により完全セルフプロデュースで活動中の地下セクシーアイドルユニット。中尊寺まい&益子寺かおりのロック姐ちゃんなライブとおやじギャル的な発言やTwitterで日本各地を毎度おさわがせします中!

※審査講評

(グランプリ選出に)抵抗がなくはないんです。サーモン鮭山監督&当方ボーカルさんだから巧くて当然というか、本職のプログラムピクチャー感がハンパないので(笑)。ただベッド・イン自体のキャラクターや世界観、さらに楽曲が作劇のエンジンになっているのは大きい。しかも「等身大」担当=破れタイツとの対比構造&二焦点により、ベッド・インがティンカーベル的な「バブルの妖精」みたいに見えてくるという。(森直人/映画評論家)

「ベッド・インにはこの企画しかないだろう」というイッパツ勝負。そしてヤリ逃げ感。あと、監督役の破れタイツの特徴がきっちり盛りこまれている気がしました。ふたりは、かわいらしいし、元気だし、おしゃべりも楽しいですけど、アグレッシブさが出過ぎちゃっているせいで、やたらスベってるところがあってオモろい(ごめんね!)。で、「そろそろ次のステージに踏み出さなきゃヤバいぞ」というギリギリ女子感もあって。そんな破れタイツのお尻を叩いているような映画でした。(田辺ユウキ/ライター)

MOOSIC LABなのか、これは…?観ているうちにそんなことはどうでも良くなり、ベッド・インという渦潮にただ為すすべもなく巻き込まれた感じです。輝いていると言われなければ電球口を咥えてでも輝くわよ!という気迫を感じて元気出ました。講評を最も必要としていない作品なのでは。(林未来/元町映画館)

「タイムマシンはもう既に開発されていたんだ!」ーーー脳内は中学一年生のころへ巻き戻し。親父が撮り溜めていたビデオの中にたまにあったのが「スーパーJOCKEY」。昼の番組にも関わらず「熱湯コマーシャル」をはじめとした呆れるぐらいの淫乱っぷりに魅了され、ひたらすら「スーパーJOCKEY」が録画されているビデオを探す青春時代でした。「あの浮ついていて、猥雑な時代に戻してくれ‼」そんな切実な想いを叶えてくれたのが今作。それもこれもベッド・インのお二人のおかげですよ!キャラクターによって無理やりバブルの時代に引きずり戻す、存在がタイムマシン的!ただ、キャラクターとして超ど級に濃いこの二人を映画に組み込もうとすると破たんしかねません。そこを、サーモン鮭山監督と当方ボーカル、突っ込み役としての破れタイツによってベッド・インという超凶悪なボケを受け止めています。おかげで、なぜか最後プロレス対決が出てくるようなほど良く破たんした映画に!そんな超濃厚な存在で本来なら付け入る隙もないベッド・インをなんとか映画の世界にぶちこもうとする姿勢ことが実にMOOSIC的精神!(大下直人/Kisssh-Kissssssh映画祭)

吐山ゆんさんはちょうどいい。ちょうどいい可愛さだし、ちょうどいい演技だし、ちょうどいい雰囲気だし、多分、性格もいいのだろうなぁ。監督業もがんばってほしいですが、もっともっと役者としての吐山ゆんさも観てみたいです。これからも各監督、ゆんさんをぜひキャスティングしてください!!(飯塚冬酒/横濱HAPPY MUSIC!映画祭)

ベッド・インの強烈な存在感。インパクトは1番でした。最初から最後まで徹底してベッド・インで、プロレスへの流れもSF的展開も、ベッド・インだからありだと思わせる。満員の劇場が爆笑で包まれる瞬間に居合わせたことは、貴重な映画体験でした。ただ、MOOSIC LABの作品として音楽の力が弱かったのが少し残念。(下北沢映画祭運営委員会/田村)

作家×音楽の構図が、バブル×現代のせめぎ合いに置換されているコンセプトなのだと思うのですが、ベッドインと破れタイツのそれぞれの良さを殺し合っている印象でした。素材が素晴らしいので本当にもったいない!!!現代にベッドインがバブルの魔法をかけるような作品が見たかったです。ベッドインに関しては、こんなに新鮮にバブルを感じる事って未だかつてなかった!!というくらい衝撃受けました。音楽の部分は魅力を感じたシーンが少なかったので、女優賞のみで。黒澤佳朗(G-Shelter)

すっごい面白い。面白すぎ。良すぎ。頭おかしくなりそう。体張り過ぎ。雑誌やWEBのインタビュー記事を吹き出しながら読んでいたベッド・インさん、彼女たちが動いているところ初めて観ました。実際そのままでした。インタビューのまま映画でも動いていました。だいじょうV!ナンパじゃないけど、半端じゃない!だーよーねー。死にましぇーん。れっつ、しだるまタイム。『ロッキー』を観た後観客がシャドウボクシングをするように、真似せざるを得ないです。押して押して押しまくる押しの一手なのに一向にバブルネタが尽きる気配がなく、その無尽蔵さ、タフネスが怖いです。笑いすぎて死にそう。しかし映画には「失われたバブルの思考を弱体化した現代人に伝える」というメッセージがあり、ベッド・インは使命があって映画に出演しているわけで、そこに素直に感動しました。あと、二人があまりにも強烈すぎて、破れタイツのお二人が本当に可愛いです。ラストの「破れタイツ、とか?」の笑顔に広末感じてマジで恋するバブルへGOでした。(西島大介/漫画家)

正直よく分からなかったです。(松村厚/第七藝術劇場)

すみません。ノレませんでした…。世代的には直撃してるんですが、ホント避けてたんで。ツッコミ待ちのごとき、ゆるめのカット尻や構図も映画制作の現場を舞台に据えたメタ構造も、まどろっこしくて。とか、思ってたらエンドクレジットのベッド・インの音楽がとても良かったので、出会い方が悪かったのかなぁ、と困惑。そして後日会ったバイトくん(西島審査員)が本作を絶賛していたので、さらに混乱している所です。(溝口徹/横川シネマ!!)

映画の中で映画をつくることでのカメラポジションなのか、それともこの監督のスタイルなのか、劇中のカメラワーク、ショットの使い方はなかなかいい感じで、それが活きているだと思った。プロレスシーンもだが、この少し緩い感じもまたこの監督の持ち味であるのであれば、劇中でのべッド・インの音楽があまり活かされてない感じがした。緩さの中にもどこかがっちり本気がみえるほうが彼女たちの音楽が(結構好きな音楽だけに)映えたのではないかと思った。そういった少し空気が変わるシーンがどこかにあったら良かったなあと個人的には強く思った。(菅原睦子/仙台短篇映画祭)

これも好き嫌いが激しく分かれる作品だと思いますが、(チープであるけれども)丁寧に物語を語ろうとする意思があったと思います。しかし逆に丁寧すぎるのか、ベッド・インさんのキャラの面白さ以上のものが出る瞬間がなく、平坦な展開に終始した印象です。こういう作品のなかに、どこか切実な瞬間が突如湧き上がると、ドキッとして一気に作品の強度が上がってくるものですが、そういうものがほしかったです。言ってしまうと、ベッド・インをダッとひんむいて、破れタイツをガッと破ってほしかったです。そこから生まれるものを見たかった。……準グランプリに挙げたのは、俳優=アーティストの魅力を物語にすべて集約させて表現しようとしていたためです。ただそれはアーティストの魅力に奉仕はすれども、果たして「映画」と「音楽」の掛け算なのか。濃いキャラクターが売りのアーティストに対して、その強いキャラクターを揺るがす作り手からの仕掛けが足りないと思ったことも確かです。(田中誠一/立誠シネマ)

まさに〈MOOSIC LAB〉版『バブルへGO!』(笑)。日本がバブルで大変なことになってた時、小学生だった自分は今回の映画を観て、いろいろ思い出した。ボディコン戦士のベッド・インはバブルから現代に来てしまったお姉さんたち。やることなすことバブルとトレンディドラマに侵されてるベッド・インの清々しさ。
対抗していく破れタイツもベッド・インの前では(笑)。城定秀夫組のサーモン鮭山監督が描く、世にも楽しいベッド・イン大戦が今始まる。(坪井篤史/シネマスコーレ)

最高!ベッドインの衣装も全部可愛いし、楽しいだけ。moosic企画を馬鹿にしてる感じが笑えます。(コムアイ/水曜日のカンパネラ)

トレンディ・ドラマを知る世代と知らない世代とで評価が大きく分かれそうな作品だが、ベッド・インのキャラの突出ぶりには誰もが圧倒されざるをえない。観客がベッド・インのノリについていけない状況は作品内で先取りされており、ベッド・インの空回りぶりが生み出すむなしさ、さびしさには奇妙に惹かれるものの、ミュージシャンとしてのベッド・インの魅力が十分に描ききれていないのは残念だった。(松本CINEMAセレクトSTAFF一同)

当方ボーカルさんの脚本もサーモン鮭山さんの演出もさすがだ。映画として面白い。更に、自ら監督・脚本・出演をこなす破れタイツさんの登場もあり、劇中のトレンディドラマも含めとても充実している。ベッド・インのお二人も魅力的に映っていた。ただ、「音楽と映画のコラボ」としては、音楽のぶつかり方が少し弱いかなという印象を受けた。ラストのプロレスもとても面白かっただけにそれが残念だ。(井上経久/新潟シネ・ウインド)

バブル期も知っているのでトレンディなパロディもベッドイン嬢のアヘアへ感も楽しめますが、一体全体、音楽はいずこへと思っていたら、最後にベッ ドイン嬢が演奏をしており、そうかミュージシャンだったわねと、ハタと気が付いた次第。脈略無いのかあるのかの突如のプロレスシーン。ギャー、 ウォーと奇声をあげて怪演する悪役レスラー和田光沙に魂を感じます。(家田祐明/K’s cinema)

とにかくベッド・インの破壊力にやられる。なんなんだ、この人たちは・・という戸惑いから始まり最後には「ベッド・イン最高!」という気持ちになるから不思議。したコメで受賞した後の破れタイツがベッド・イン主演で映画を撮るという設定の映画を、サーモン鮭山+破れタイツが撮るという構造だけでも面白い。(山﨑花奈美/MOOSIC LAB札幌編主宰)

未着(九龍ジョー)

ライブハウス レクイエム(2015)

MOOSIC LAB 2015 公式出品作品

『ライブハウス レクイエム』

監督・脚本・編集:松本卓也|音楽:マチーデフ、バクザン、チャンベビユウコ、YUME|撮影・照明:岩崎登|制作:青柳智|地元プロデューサー:きよ里|出演:マチーデフ、CYBORG KAORI、森下由美 (だるま食堂)、イグロヒデアキ、バクザン、島隆一、巴山祐樹、岡田美香、チャンベビユウコ、倉田奈純、伊藤あすか­、西尾美鈴、中村博和(NAMARA)、後藤龍馬ほか

★各地の映画祭で観客を沸かせ、注目される松本卓也監督が、実弟にして『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』にも出演したラッパー”マチーデフ”と日本最強の女性ビートボクサー”サイボーグかおり”のコンビで参戦!名物オーナーが亡くなり、閉店を余儀なくされた地方のライブハウス。追悼ライブのために奔走する店長とスタッフ、そしてミュージシャンらの姿を描く。
(カラー/71分)

◉松本卓也

東京都出身。映像製作団体「シネマ健康会」代表。十代の頃からお笑い芸人として活動、コンビ解散後に完全独学で映画制作の道へと進む。『ノーマネー、ノー真似。』の精神でオリジナリティ溢れる作品を創作、全国各地の70以上の映画祭で入選・受賞を果たす。

◉マチーデフ&サイボーグかおり

松本監督短編『帰ろうYO!』で初共演。今作で再びタッグを組む。【マチーデフ】ラッパー。書籍「ラップの教科書」著者。ラップの先生としても幅広く活動中。【サイボーグかおり】ヒューマンビートボクサー。役者として園子温監督『リアル鬼ごっこ』にも出演。

※審査講評

「巧い」が、松本卓也×マチーデフ兄弟の実力を考えると「惜しい」印象の方が上回ります。もっと本領発揮していたら、コレを第一席にしたかったんだけどな~。コンセプトはすごくいいと思う。多ジャンルの音楽を陳列できる場所設定、何より「ハコ」や「コヤ」文化としての音楽というのが映画(館)のアナロジーにも見えるところがグッときます。ところがドラマ進行があまりに「泣き」に引きずられて、タメが長すぎるのではないか。そのせいで、リーサル・ウェポンであるはずの主演女優サイボーグかおりさんの見せ場が極端に少なくなってしまっている。もっと高密度な祝祭空間で、『glee/グリー』や『ピッチ・パーフェクト』的なノリの続編を作って欲しい!(森直人/映画評論家)

台詞が良かったです。「ロックとかロックンロールとか誤摩化した言葉が大嫌い」とか、「もっと現実見ろ、足元見ろよ」とか。松本卓也監督は昔、彼女をロックミュージシャンに寝取られでもしたのでしょうか(笑)。それくらい切迫感があって。サイボーグかおりさんは、ひたすら受けて、受けて、受けまくって、そしてボイスパーカッションで撃ち返す。『いいにおいのする映画』のmicciさんと同じく、ミュージシャンならではの、「もっと見たい」と思わせる佇まいがありますね。(田辺ユウキ/ライター)

クセ者揃いのMOOSIC LABの中で、なんて真面目なドラマなんだ!というのが第一印象。ライブハウスを舞台としているが、古き良きドラマの形態を取っているため舞台が町の食堂でも商店街の八百屋でも置き換え可能なところが残念。登場人物の「顔」がみんな良かったです。マチーデフはその顔でなければその役が成立しないほどの良さだったので、男優賞に選出しました。(林未来/元町映画館)

なんだろう松本監督の過去作「マイツイート・メモリー」「ペーパーロード」「帰ろうYO!」を観る度愛憎入り混じった感情が湧いてくるのはなんでだろう。「夢という呪いにかかった人たち」「何者かになろうとする人間と立ちはだかる現実の間に起こる摩擦」「家族の和解」などイチボンクラ男子としては超ツボである題材を扱っているので、アナルファックしてもいいぐらい好きになるはずなんだけど。どうも安全圏内に落とし込もうとする姿勢が随所に見受けられ解せないんだよね。今作は余りに露悪的な悪役がどうしても府に落ちずずっともやもやとした気持ちを抱えながら観ていました。ただ、最後のある種の外し演出に若干溜飲下がりました。なんだかんだで、映画作りというリングの上で葛藤や鬱屈とした想いを抱えながら戦っている松本監督を応援したい自分がいる。大下直人(Kisssh-Kissssssh映画祭)

多分、監督はそこそこ器用な人なんだろうな、と思います。(飯塚冬酒/横濱HAPPY MUSIC!映画祭)

オーナーからの愛、オーナーへの愛、松本監督のミュージシャンや役者さんたちへの愛、音楽への愛をスクリーンからたくさん感じて、泣きました。サイボーグかおりさんの涙と笑顔、マチーデフさんのラップで、さらに泣きました。いろんなジャンルの音楽がライブハウスに集い、まさに“音を楽しむ”映画でした。マチーデフさんのラップをもっと聴いてたかったし、ラストシーンにもっと浸っていたかった。(下北沢映画祭運営委員会/田村)

中央発信でもなくなりつつある今の時代、地方のライブハウスが死んでるというリアリティが全くないので、なんで今こんなテーマで作品つくるんだろ?という疑問。マチーデフとサイボーグかおりのミュージシャンとしての良さは全く出番ない変わりに、役者としてのマチーデフは光っていたので男優賞を推しました。(黒澤佳朗/G-Shelter)

ロック嫌いのライブハウス店主とそれを取り巻く人間模様音楽模様なのですが、なんというか、あまり僕には感想がなく・・・。新潟という僻地、ライブハウスや音楽、文化がないという設定はわかるし、サイボーグかおりさんも映画映えしていますし、エンディングのマチーデフさんの顔のアップは『戦場のメリークリスマス』のビートたけしのようにも思えますが、果たして何のための映画かよくわからず。測定不能でした。(西島大介/漫画家)

よくありがちなお話ですが手堅い感じで良かったです。(松村厚/第七藝術劇場))

一昨年のMOOSICにエントリーした「トムソーヤーとハックルベリーフィンは死んだ」に寄せて書いた一文、「たくさんの孤独が寄せ集まって大きな熱を放つような、熱い印象が残る作品」。後から思えば、それは僕が好きになってしまう「映画」の傾向であり、自分が思う「映画館」の理想的なあり方でもあるのですが、ともかく、この映画を見て、その一文を思い起こしました。それは、新潟を舞台にした同じオール地方ロケ作品だったからか、主演マチーデフの顔立ち(メガネ?)に橋野純平を思い出したからか、ライブハウスの場末感に映画館を重ね合わせたらか(実際、横川シネマはあの映画の撮影後に改装し、魂のみ残して姿形は亡くなりました)、この2作品を引き寄せながら拝見することになりました。但し、決定的に異なっていたのは、「トムソーヤーと…」は作劇が完全に破綻してしまうのに対し、本作は見事にドラマが完結していることでした!オーナー追悼ライブのタイムテーブルに沿って登場する数多くのキャラクターの心情や関係性の変化が、それぞれの楽曲はもちろん、細かなフリや伏線の回収など的確なカードの切り方で明快に伝わって来る上に、個々の要素が雪だるま式にクライマックスへのボルテージを上げる布石として効いている構成は見事だし、役割の大小に関わらず隅々まで目配せが行き届いていて群像劇として気持ちよかったです。失われゆく居場所をノスタルジーではなく若者たちの巣立ちとしてポジティブに描いた上で、冗談めかした不敵な幕切れ。秀才の映画だと思いました。
コンペ審査中、この時点では、この秀才ボクサーを倒してしまう「一発」を持った相手が登場することを願っていたことも、野暮ですが告白しておきます。 (溝口徹/横川シネマ!!)

ドまんまかにボールを投げてみた!という作品だと思った。物語も構築の仕方も、カメラの捉え方も正統派という感じの作品。私は感情移入して映画を観ることはほとんどないのだが、主人公はみんなかな?というくらいどの人にもスポットがあたっていて、群像劇とはどこか違うややくどさは残った。また終りそうで終らないラストが、この映画のテンポというかリズムに今ひとつ乗り切れずに終った。棺桶はあんなに軽くはないぞと思いながら、運び出し駆けるシーンは、青春映画のように清々しかっただけに、もったいない感じがした。(菅原睦子/仙台短篇映画祭)

こういう「ええ話」をやろうとすると、細部を繊細に周到に描かないと「嘘」になってしまうと思います。ライブハウスのリアリティというか、「におい」があればよかったのですが、それは感じられませんでした。ラストはどうしても尻切れトンボに感じます。(田中誠一/立誠シネマ)

驚くべき才能が登場した。負い目を背負った若者たちへの視線が熱い。切れ味の良い編集と絵の切り取りに脱帽する。(木全/シネマスコーレ)

叫んだり、罵ったり、という声が多くて心臓に悪かったです。カット割りのリズムが悪いのもよくなかったです。特にライブの決めシーンは、カメラワークをあまり変えない方がぐっときたりすると思います。オーナーのメッセージも良いのですが、もうひとこえ欲しいです。(コムアイ/水曜日のカンパネラ)

器用で手慣れた演出により、「MOOSIC LAB」という枠外であれば、賞に絡んでもおかしくないようなよく出来た作品だが、フィーチャーされるべきマチーデフ&サイボーグかおりの音楽が魅力的なだけに十分に活かされていないのが残念。ボイパなら「喋れる」という設定ももっと物語に組み込まれてもよかったのではないか。ただ、(おそらくは三条市というロケ地から産まれたであろう)「地方のインディーの痛さ・切なさ」というテーマは、「MOOSIC LAB」を超えて、刺さる人には刺さるだろう。(松本CINEMAセレクトSTAFF一同)

MOOSIC LABで松本卓也監督の映画を観ることができて嬉しい。これまでも多くの作品を新潟で上映してきた松本監督。しかも今回は新潟県三条市で撮影と聞き、観る前から興味津々だった。この映画、恐らく音楽のみならず映像関連も含め、作り手であればもっと楽しめ考えさせられるではないだろうか。ライブハウスのオーナーの追悼ライブという設定もあり、バラエティに富む音楽が映画を通じて楽しめる。ただ(身内の追悼ライブだから仕方ないかもだが)演奏者・表現者の事情や悩みの吐露のような話の内容は、映画館員として観客の立場を想像すると「楽しめるのかな」と考えてしまった。出演者の中ではマチーデフさんが良かった。ミュージシャンで選ぶべきなのか悩んだけれども、今回は男優として選ばせてもらいました。(井上経久/新潟シネ・ウインド)

ライブハウスに集まる仲間たちの人情ドラマがソツなく描かれてますが、もっとバンドマンもお客もいてほしいです。オーナー泣いてます。(家田祐明/K’s cinema)

東京から田舎へ戻ってきた男の焦燥感と、彼らを受け入れる「母」、ライブハウスのオーナーの関係性が良い。追悼ライブでは様々なジャンルの音楽が盛り込まれており、ラストシーンのマチーデフ&サイボーグかおりによるレクイエムは心を揺さぶられる。山﨑花奈美(MOOSIC LAB札幌編主宰)

劇場版 しろぜめっ!(2015)

MOOSIC LAB 2015 公式出品作品

『劇場版 しろぜめっ!』

撮影・編集:森孝介|音楽・出演:スガダイロー、ノイズ中村

フリージャズピアニスト”スガダイロー”率いる”スガダイロートリオ”。その全国ツアーに密着した笑いあり、涙あり、演奏ありのドキュメント・ロードムービー『しろぜめっ!』。WEB上で好評だった同作品を劇場版として再構築!新たに撮影・編集を施され、生まれ変わった映像が堂々スクリーンに登場!(カラー/60分)

◉森 孝介

写真家・映像作家。1980年生まれ。大阪育ち。2014年、映画「瞬か、とはなんだったのか?」を公開、監督デビュー。 カメラワーク及び作品に一貫した特徴は強い主観性。存在に肉薄する画面構成は、現場や関係性を追体験させる力強さを持つ。

    ◉スガダイロー

ピアニスト。1974年生まれ。鎌倉育ち。即興を主体としたプレイスタイル、野獣のように、時に優雅に。その重要度から、対決・共演したアーティストは数え切れない。また近年では作曲家としても評価を受け、CM・舞台等に活躍の場を広げている。

※審査講評

MOOSICの過去作になかったポジション(作風)を埋めた点で貴重な一本だと思います。フリージャズのリズムと精神に同期した文体で、内容は『ハングオーバー!』にも近い(いいトシした)チーム男子のロードムービー。ただ劇中でもさりげなく語られていたように、問題点は「対象に近すぎる」こと。いちげんさんに仲間の魅力を伝えるためには、もうちょっと“引いた”視座の獲得が必要かもしれません。それはネット動画(短編連作)から劇場版(長編)のフォーマットに拡大する際の作法とも密接に関わってくると思います。(森直人/映画評論家)

もうちょっとしっかり画と音楽を見聞きさせて欲しかったです。映画として「ここで走り出して欲しい」というところで、映画として、映しだす音楽として、いったい何が変わるんだろうと期待を膨らませましたが、画と音楽が手に取れなかったので、結局勢いで突っ切られた印象でした。それでも、スガダイロートリオに挑んだ森孝介監督のトゲはちゃんと刺さってきました。(田辺ユウキ/ライター)

今回最も音楽との実験性を感じたのがこの作品。音楽のリズムに乗せて映像を編集するという手法はこれまでのMOOSIC LABでもなかったと思います。だからと言ってMVにもならず、ちゃんとドキュメントしていたうえに、スガダイローを知らない私にも(すみません)ちゃんと楽しめるものでした。トリオのベーシスト東保光さんを男優賞に選出したのは好みだったからですが(すみません)、作品中でも印象的な役回りでした。後半、監督の自分探しにシフトしたところはちょっと残念。(林未来/元町映画館)

友達に「ちょっと最近旅行してきたんだよね~その時の動画観る?」と言われ、その友達が全然知らない友達とひたすらふざけ合っている様子を1時間見せられたのに似た感覚を味わいました。すげえ露悪的な言い方をすればこいつら誰だよ感。共感というものが一切湧いてこない。でも、その居心地の悪さこそ「しろぜめっ!」の醍醐味じゃないですか、納豆的な臭さを楽しむタイプの映画です。(大下直人/Kisssh-Kissssssh映画祭)

オープニングのスピード感が失速することなく最後まで持続する作品。音楽と映像、そして監督の感性、MOOSICらしい作品かな、と思います。(飯塚冬酒/横濱HAPPY MUSIC!映画祭)

スガタイロートリオの演奏するフリージャズに乗せて性急的とも言えるようなハイスピードな編集で展開される男たちのドキュメントロードムービー!スガタイロートリオの三人はもちろん、ノイズ中村さんの魅力も満載で、ハイスピードな編集も相まって目の話せないMOOSIC作品でした。ただ、明確な「ドキュメント」としての狙いが見えず、映画としての強度をが少し足りなかった(松岡/下北沢映画祭運営委員会)

もはやmoosiclabの風物詩、男性監督による崩壊ドキュメンタリー作品枠。しろぜめっ!の過去作は未見ですが、見ても評価は変わらないと思います。演奏以外の良さを見いだす事ができなかったので、せめて演奏の良さが伝わる作品にして欲しかったです。(黒澤佳朗/G-Shelter)

ジャズピアニスト、スガダイロートリオのツアーに密着したドキュメンタリー。ウェブで配信されていたショートムービー集「しろぜめっ!」とは異なり、監督vsスガダイローという対決姿勢が強調されていて、それはとてもフリージャズらしい構図(アングル)。監督が被写体から駄目出しされる展開は、三年前の『サマーセール』を彷彿とさせ、実際カンパニー松尾さんにインスパイアされたような展開もあります(でも半端に終わる)。ダイローさんガチ切れからの「撮れんのか!?」「やってやらぁ」的展開は真実性がありスリリングですが、「撮れんのか?」という問いへの回答がジャズ内の精神性だけに基づいているため、「映画」としての説得力は希薄に感じました。実は僕この映画にちょっとだけ出演しています。ごく一部のミイケ先生好きぜひ。(西島大介/漫画家)

正直よく分からなかったです。(松村厚/第七藝術劇場)

まさか本作が、「サマーセール」や「アカシック」に連なる自意識肥大セルフドキュメンタリーの流れを汲んでいるとは思いませんでした。テンションの高いライブシーン、男たちのバカ騒ぎ、矢継ぎ早に流れていく街の景色…見所に事欠かないロードムービーを、内側から食い破ろうとする監督の意欲は好きですが、結果あしらわれている末っ子感。おかげでスガダイロー先輩の背中が大きく見えた、気もします。(溝口徹/横川シネマ!!)

前説のような映像が流れたときは、どうよ!?と思ったのだが、全部撮ることに意義がある、の言葉通りずっと音楽が流れ、情報がいっぱい詰まった作品だった。しかし音楽きちんと最後まで聞く機会も与えてもらえない飢餓感、「今日」でもなく「明日」でもない「翌日」というテロップが彼らには日々日常であることなのだと思え、特別なこと等起きないこのロードムービーから目を離すことができなくなっていた。この監督の、カメラの自由さをとても楽しませてもらった。監督のみのシーンはちょっとどうかなと思ったので、この部分をいれた経緯を少し聞きたいと思う。(菅原睦子/仙台短篇映画祭)

こういうカッティングというか呼吸で見せるという意図は分かるのですが、それがいいとは思いませんでした。スガダイロートリオさんのプレイはすごそうなんですが、それは伝わりませんし、時折メンバーさんと監督が交わしているパーソナルな会話や監督とスガダイローさんのヒリヒリ(してそうな)関係などは表面だけ見せられているような気分でした。城に赴くということがこの作品のタイトルにまで冠されている意図が分かりません。(田中誠一/立誠シネマ)

「なんだこのアニメのようなタイトルは…?」と、思っているあいだに突如始まったドキュメントロードムービー。演奏する、走る、飲む、喋る。全然、城攻めないし、全員ふざけてるし、中盤カンパニー松尾監督の「テレクラキャノンボール」みたいになるし、なんなんだこれは!?…と思いつつ観終わったら、出演者みんなの事を好きになっているという不思議な現象が起こった。スガダイロートリオの演奏が、これまたスリリングでセクシーで素晴らしい。すっかりファンにさせられてしまった。(榊原/シネマスコーレ)

全編早送りはしんどいです。男たちの旅の楽しさは最高でした。スガさんたちの演奏の凄みが半分も伝わっていなかったので残念です。(コムアイ/水曜日のカンパネラ)

いろいろな人、いろいろな町が見られ、閉じがちな「MOOSIC LAB」に風を吹き込むような自由な開かれ方が魅力の作品であり、監督の編集技術の高さにも感心させられる作品だが、すでにスガダイローを知っている人と知らない人では見方が別れるだろう。時折はさまれる短いライブの映像からもスガダイローの音楽の魅力は伝わっては来るが、この作品は全体として人>音楽なため、まだ彼を知らない人にその音楽の魅力を伝えるには不十分ではないか。(松本CINEMAセレクトSTAFF一同)

スガダイローさんの格好良さといったらない。ピアノを弾いている姿も普段の佇まいも、それでいてランナーでもある。映画はスガさん率いるスガダイロートリオの西南ツアーの様子を描いたドキュメンタリー。僕はスガダイロートリオを愛聴する人ではない。けれどもこの映画を観ていると、まるでトリオのフリージャズを聴いているみたいな気分になる。編集のリズムやカットの選び方がジャズを感じさせるのだろう。観ていて心地よかった。(井上経久/新潟シネ・ウインド))

「しろぜめっ」といってもいつ攻めるのか全く攻めない佇まい。ロックやポップスやアイドルのMOOSICから現れたフリージャズ世界。酒を煽り、 旨いもの食って街から街へと走るバンドの旅は音楽の旅。目まぐるしく切り替わる画と飛び込んでくる音。映像作家と音楽家が、互いに挑発し続けるフ リースタイルのノーガードは、ひとつのプレイ(演奏)となり、セッションを繰り広げ、全1曲の60分の生ライブとなって殴り合ってるようだった。 それは演奏シーンだけでなく、全編に音は漂わせ、映画がプレイ(演奏)をした感覚でした。城を攻めない「しろぜめっ」ではなかった。スガタイロー という牙城にしっかりと攻め込んだ。タイトルは「しろぜめっ」。正解でした。(家田祐明/K’s cinema)

膨大な素材をセッションのように繋いでいく編集は、映画のハイライトをずっと観ているような感じがして、いつ物語が始まるのだろうというモヤモヤを抱えたまま最後までこの調子で終わってしまう。しかし、いつのまにかそのテンポが心地よくなり、スガダイローの魅力にハマっていく。(山﨑花奈美/MOOSIC LAB札幌編主宰)

未着(九龍ジョー)

劇場版 復讐のドミノマスク(2015)

MOOSIC LAB 2015 準グランプリ/観客賞/ミュージシャン賞(細身のシャイボーイ)/女優賞(望月みゆ)/男優賞(福田洋)

『劇場版 復讐のドミノマスク』

監督・脚本:室谷心太郎|音楽:細身のシャイボーイ|出演:福田洋(ユニオンプロレス)、望月みゆ(バンドじゃないもん!)、ささかまリス子、竹下幸之介 (DDTプロレス)、アントーニオ本多(DDTプロレス)、細身のシャイボーイ、室谷心太郎、天野ジョージ(撃鉄)、みきちゅ(カラー/70分)

★不屈且つ不遇 のヒーロー”ドミノマスク”は暗黒魔王の手から世界を、妹を守れるのか!?アカシックのMVなどを手がける室谷心太郎×プロレスラー・福田洋×『日々ロッ ク』出演のシンガーソングライター”細身のシャイボーイ”のコラボで送るプロレスラー、アイドル、ミュージシャンが入り乱れて送る、ロマンチック・アクション映画!

◉室谷心太郎

1987年生まれ。東北芸術工科大学映像学科卒業後、映画「毎日かあさん」の制作進行を担当。監督作品『こちら宇宙郵便局第三集配エリア営業所』がNHKで放映。短編映画『平成アキレス男女』が国際芸術祭あいちトリエンナーレ2013にて上映。近年では撃鉄やアカシック、神聖かまってちゃんやバンドじゃないもん!らのMVを手がける。

◉細身のシャイボーイ

1989年1月10日生まれ。神奈川県横浜市出身。2013年、ラジオパーソナリティーになるために音楽活動を開始。学生時代、船舶の機関士を目指していた名残で、ライブ中は航海訓練所の白い制服を着用している。2014年公開の映画「日々ロック」に楽曲提供したことがきっかけで映画製作に興味を抱き、室谷組「復讐のドミノマスク」参加へ至る。

※審査講評

昭和40年代サンプリング的な特濃趣味の世界で“仲間”のキャラを泳がせる『劇場版 復讐のドミノマスク』。長編のエンタメとして成立するには「ずぶずぶ感」が強すぎるというか。ただ、細身のシャイボーイさんに関しては「素材」として旨味を存分に使いこなすクールな意識が監督にあったのではないでしょうか。画面の中で映える立ち姿も素晴らしく、演者としては今回ダントツで惹かれました。なるだけ多くの方を受賞リストに並べたいという理由で避けましたが、本当はベストミュージシャン賞にも推したかった。(森直人/映画評論家)

第1回のMOOSIC LABにノミネートされているような懐かしさがありました(笑)。ただ、短編であればあるほど、ネタは持ったと思います。お話を走らせるワケではなく、とにかく福田洋さん、望月みゆさん、細身のシャイボーイさんらの濃度を貼付けた映画でした。(田辺ユウキ/ライター)

色モノっぽくてあんまり期待していなかったのですがとても楽しめました。ドミノマスクの福田洋さんがすごくカッコ良い!もっと観たい!!一見普通のドラマなんですが細身のシャイボーイの歌がとても力強く効果的で、存在感が抜群でした。これがあるのとないのとでは大違い!普通のドラマをMOOSIC LAB的にする良い例だと思います。(林未来/元町映画館)

全編いい意味でテレビ的で、お茶の間感があって映画っていう敷居をとことん下げている。OPのドミノマスクのテーマソングといい、なぜか随所に入るアイキャッチといい、どこか80~90年代のヒーローものような空気があり、僕たちの懐旧の情を喚び起こします。特筆すべきは愛すべきボンクラ感ですね。福田さんやシャイボーイさんはひたすら不器用でイケてない。けど、こいつらのことずっと見守っていたい!テンプレみたな言葉だけど、実際そうなんだ!特にKisssh-Kissssssh映画祭2014の入選作品「よっちゃん、逃げちゃ嫌」にも出演していた室谷監督。センスよさげでモテそうなのに、たどたどしい感じがたまりません。この映画のキャストの皆さんは人に愛される才能がありますよね。あと、音楽と映画のガチンコ勝負というよりは音楽vs格闘技でしたね。最初の福田さんと細身のシャイボーイの対面シーン。シャイボーイさんが只管演奏する、構えながら聴く福田さん…自然と鳥肌が立ちました。ラストこそ文字通り「音楽」が加勢していましたね。加えて「ガメラ2 レギオン襲来」ラストというか、「ウルトラマンティガ」の最終回というか、人々のヒーローに対する祈りや願いを力に変える展開、ベタベタやん、けどそれがいい!(大下直人/Kisssh-Kissssssh映画祭)

よくも悪くもはまってしまう映画です。苦笑のオープニングからはじまり、役者の演技、音の悪さ、まさかの悪役、そんなものを全て吹っ飛ばす楽しさがあります。映画への情熱があります。そして、特筆すべきは、細身のシャイボーイさん。音楽で映画に闘いを挑んでいます。細身のシャイボーイさんのライブを観てみたいなぁ。(飯塚冬酒/横濱HAPPY MUSIC!映画祭)

8作品すべて「最初の音楽がどのタイミングで流れるのか?」に注目して観ましたが、最高に気持ちいい流れで音楽の力を感じることができたのが本作。細身のシャイボーイがギターを武器に、闘うように歌うシーンのカッコ良さ! 上映後にCDがバカ売れしていたのも納得です。そしてさくら役・望月みゆさんの絶妙な“イモウト感”。プロレスラー、ミュージシャン、アイドル。それぞれがハマり役を得て、室谷監督の世界の住人を楽しんでいる“三位一体感”がたまりません。くだらない話ではあるものの、決して内輪ノリに終わることなく、観客を置いてけぼりにしないエンターテインメント性も評価したいポイントでした(ただもうちょっとコンパクトにして欲しかった!)。そしてなんと言っても驚くべきは、福田洋さんのまさかの美声! ホレボレしました。(平井/下北沢映画祭運営委員会)

出演者キャラ立ちもテンポも素晴らしいのですが、音声の出来が致命的なのが本当に惜しい‥!ベストミュージシャン賞に推した細身のシャイボーイ。今回のmoosiclabは、ミュージシャンが作品の重要な役所や世界観を担っていたり、映像×音楽のせめぎ合いやコラボがうまくいっている作品多かったと思いますが、、細身のシャイボーイとして魅力伝わるシビれる演出が随所にあった所が決め手でした。ベスト男優賞に推した福田洋さん。
福田さんの演技、アクション、キャラクターが本当素晴らしく、映画×レスリングとコラボとしても成功しているなと勝手に思いました。表情の演技もとても栄えていたのが印象的。男の弱いmoosiclab作品の中で、希望のある男らしさでした。(黒澤佳朗/G-Shelter)

冒頭から映像がとても美しく撮影されていて、タイトルのB級ムードと裏腹に、とても丁寧な印象を持ちました。意外でした。で、お話は・・・な、ないです。キャラだけ? スタッフクレジットをチェックすると、ディアステ宮崎組の参加も。いろいろ乗り入れている感じ。「みんな楽しそうでいいですね」以上の感想が出てこないのに、嫌いにはなれない不思議な映画。あとドミノレディの書店員バイト姿も良いですね。三部作構想があるそうで本作はその第一部とのこと。もう勝手にやっててください(良い意味で放置)(西島大介/漫画家)

昔昔の学生映画の撮っていた自主映画のテイストが炸裂した作品で妙に懐かしさを感じました。(松村厚/第七藝術劇場)

正義のヒーローの素顔がうだつの上がらないフリーターとか、出来の悪い兄貴と健気で美人の妹の絆とか、手垢のつきまくった王道シチュエーションを、ドミノマスク=福田洋という魅力的なキャラクターと助演陣の好サポートで、ド真ん中から突破してしまう清々しさ。そして一番グッときたのは、クライマックス最後の切り札に「歌」を持ってくる「MOOSIC」な一手!お見事で一気に株が上がりました。一聴してそれと判る細身のシャイボーイ節も、あらためて好印象。(溝口徹/横川シネマ!!)

フルコーラスの洪水である。その分作品が長いのかと見終わって思ったりした。真正面からMOOSIC LABと取り込んでいることに好感を持った。所々音の使い方がくどいことと、ドミノマスクの動きに対してカメラのカット割りが少し鈍く感じ、テンポにのれないところもあったが、ラスト近くのみんなで歌うシーンはミュージカルの様でもあり、『マグノリア』っぽく思えたり、好きなものを思い切り詰め込んだであろう監督のこの作品への心意気を感じた。(菅原睦子/仙台短篇映画祭)

台詞の棒読みやチープに見せる演出など、好き嫌いは分かれるテイストだと思います。細身のシャイボーイさんも非常にクセのあるアーティストさんですし。個人的には好みではありません。が、ドミノマスクさんの何とも言えないひたむきさには嘘がないように見えて好感を抱きました。
クライマックスでドミノマスクさんが本来の力を失ったまま勝利しますが、そのまま(力を失ったまま)であっても勝つのは何故か。あれだけ宇宙規模の強さの描写を重ねた相手に勝利する根拠が提示されないのはやはり手落ちだと思います。(田中誠一/立誠シネマ)

タイトル見た時に真っ先に思い出したのが、ミルマスカラス(覆面レスラー)の映画。
確か副題が『復讐のラリアート』だったような気がする。しかしこの映画の主人公はドミノマスク(仮面レスラー)だ。男の子は、映画にヒーローとプロレスと音楽と美女とわかりやすい敵が出て来ると心を鷲掴みにされて弱いのよ。僕は細身のシャイボーイの全く熱い太身な歌が大好き。たっぷり楽しませていただきました。(坪井篤史/シネマスコーレ)

キャスティングも映画の態度も最高!1話分だけでも充分なくらい濃かったのがよかったです。福田さんにも心をくすぐられ、細身のシャイボーイの存在感も、望月さんやささかまさんはじめ女性陣の存在感も素敵でした。芝居に頼らずともいけるもんですね!(コムアイ/水曜日のカンパネラ)

わたしたちをもっとも楽しませてくれた作品である。「MOOSIC LAB」らしさ、乱暴に言い換えるなら、「今どき」な映画と音楽のコラボレーションではないものの、ドラマと音楽の古典的な結びつきは、文句なく観客に幸福感を味あわせてくれる。特に、それ単体としても秀逸な主題歌が、終盤のドミノマスクと暗黒魔王の対決場面でそれが登場人物たちによって口ずさまれるとき、ドラマと音楽のコラボレーションは最高潮に達する。この作品の魅力が、本業はプロレスラーの福田洋(『ドミノマスク』)に負うところが大きいのは間違いないが、真面目でバカバカしいこの物語世界を実現する上で細身のシャイボーイの歌が欠かせないことも言うまでもないだろう。個性的な脇役たちもいかがわしく愛らしい。(松本CINEMAセレクトSTAFF一同)

その存在感もふくめドミノマスクの福田洋さんがもちろん素晴らしいのだけれども、暗黒魔王はじめ各登場人物の設定が大好き。映画自体がドミノタウンのユニークな住人たちによる風変わりな日常を描いた印象があり、テレビ版「探偵物語」のシチュエイションを思い出した。そして細身のシャイボーイ! 彼が登場しギターを弾くことで、様々な局面の速度や光景が変わる。僕が考える音楽と映画との理想的なぶつかり合いの1つ。(井上経久/新潟シネ・ウインド)

懐かしのテレビヒーロードラマでも見てるような話の割方に微笑む。何の構えもなくヒーローに声援を送った子供のようにマスクマンを見ていた。中途 半端なマスクを被った優しき兄貴。ヒーロー物は何といってもライバルが不可欠だが、世界を越え、宇宙を越えてやってくるライバルアフロもまた良 い。それでも特筆は細身のシャイボーイ。オーソドックスな話で展開も読めてしまうだけに、その弛みそうなポイントで歌声とギターストロークが映画 にドロップキックを与えてくれてる。たどたどしいセリフの言い回しを味と取るか下手糞と取るかはさておき、エンタメ感は抜けてます。(家田祐明/K’s cinema)

主演・福田洋の存在感が素晴らしかったし、望月みゆ演じる妹のヒーローになりたいお兄ちゃんの、必死さや泥臭さと細身のシャイボーイの歌がマッチしていた。とってもすきです!(山﨑花奈美/MOOSIC LAB札幌編主宰)

未着(九龍ジョー)

ねもしすたぁ(2015)

MOOSIC LAB 2015 審査員特別賞/ミュージシャン賞(せのしすたぁ)

『ねもしすたぁ』

監督・脚本:根本宗子|音楽:せのしすたぁ|出演:せのしすたぁ、根本宗子、梨木智香(月刊「根本宗子」)、大竹沙絵子、あやか、尾崎桃子ほか

★初の地方公演として某音楽フェスに呼ばれた劇団の月刊「根本宗子」チームと、福井のアイドルグループ”せのしすたぁ”の出会いが奇跡を起こす!?今最も勢いのある2組とも言える、人気アイドル”せのしすたぁ”×劇作家・根本宗子のタッグで送る、今しかない、やるしかない、新たなアイドル映画の決定版!(カラー/50分)

◉根本宗子

1989年東京都出身、19歳で劇団月刊「根本宗子」旗揚げ。劇作家、演出家、役者として活動中。劇団公演ではすべての作品の作、演出を手掛け、女優としても外部作品に多数出演。最近ではWEBドラマ「女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。」の脚本を手がけ、演劇以外での精力的に活動中。

◉せのしすたぁ

福井県のアイドルグループ。メンバーはみか、ゆーたん、まおの3人組。福井県のご当地アイドル「アミ〜ガス」からの派生ユニットで主に県外を中心に活動をしている。楽曲は聴きやすいダンスチューンでありながら激しいアジテーションとライブパフォーマンスがウリ。必ずフロアを盛り上げる。2015年5月には親交の深いNATURE DANGER GANGとコラボ曲も発表するなど、アイドルシーン以外でも積極的に活動をしている。

※審査講評

「巧さ」という意味では浮上するのですが、むしろソツのない達者さが熱量の伝達を遮っているような気がしました。(森直人/映画評論家)

根本宗子監督、せのしすたぁの「バンド感」が気に入りました。せのしすたぁのメンバー・みかさんが、ヘンテコなフェスに連れてこられて「私、何のために大学休んだんだろう」と不満を言う場面がありますが、「アイドルをやっていくことは大変なんだ」というごく普通な感想も含め、それらすべてが、彼女たちが「音楽」を築き上げるための、まさにリアルな側面。劇中では、そういった過程を経て月刊「根本宗子」とコラボレーションを目指していく。この一体感に魅入りました。(田辺ユウキ)

大したことないドラマなのだけど、だからこそラストのライブが生み出すカタルシスの凄み!たった1人でステージに上がって歌い出すまおちゃんの姿に理解不能なまでの熱がこみ上げる。かわいいのかかわいくないのかわかんない顔も(失礼)表情の乏しさも妙にハスキーな声もすべてあの瞬間のためにあるのだと思えたくらいに輝いてました。(林未来/元町映画館)

エンディングはまさかのせのしすたぁさんの楽曲が2回も!本編+エンドクレジットで同じ曲(笑)!ストーリーのはちゃめちゃ感も好きです。佐野和真君は二枚目のうえ、まさかのおそ松くん!!!!(ネタばれてます)(飯塚冬酒/横濱HAPPY MUSIC!映画祭)

温泉地の音楽フェスに呼ばれた月刊「根本宗子」チームと福井のアイドルグループせのしすたぁの超協力タッグでしたが、どちらの魅力もバッチリながら二組の「かけ算」ではなく「足し算」になってしまっていたのが少し残念でした。それでも随所にみられる「根本節」だったり、ラストのライブシーンにはぐっときました!(松岡/下北沢映画祭運営委員会)

作家×音楽の構図を、劇団×アイドルの組ませ方でガッチリ成功していました。根本さんの縦横無尽の活躍ぶりによる所が大きいと思います。『当て書きしかできない』という作中でのセリフそのままに、根本さんの客観的な目線、感情移入しやすい役どころ、テーマ曲の歌詞、すべて完璧でした!!主張しすぎない役なので、あえての女優賞推しですが、ムーラボ2015MVP賞というのがあればダントツ根本さんを推します!!グランプリに推してはいますが、作品としてはちょっと小粒な印象。アイドルのかける魔法とか感動とか、そういう所をもっと引き出してほしかったかも。(黒澤佳朗/G-Shelter)

すっごい面白かったです。ギャラない、食えない、メンタル弱る、太る、繋がる、最終的にいろいろどうでもよくなる、運営も手放す、ファンすらどうでもよくなる。そんな現代のアイドルの飽和&地崩れ状態を、コメディとして的確に打ち返した作品。芸達者な出演陣の中でアイドル「せのしすたぁ」の「まお」さんのむき出しの存在感(場末感しかないハスキーボイス、率直に太っている等)が印象的。推せる要素のないせのしすたぁのはずが、エンディング近くでは「がんばれ!」と応援してしまうのは、映画が作り出した奇跡ゆえだと思います。状況を整理すべく監督の解説が始まったり、急にナレーション流れたり、一件無茶で乱暴なんですけど、実は鋭く要点をまとめており、伏線回収もとても丁寧。笑いの畳み掛けの中に切なさもあり、つまりエンタメ王道。とにかく勢いのある根本宗子監督の演出力、構成力、機動力が圧倒的で、演出家としてのタフさを感じました。クドカンになりうる大器。ねもしすたぁフジロック出ちゃいそう。(西島大介/漫画家)

アイドルって大変ですね。(松村厚/第七藝術劇場)

見終わって、何も残ってない(笑)。楽しかった感覚と仄かな熱量の余韻。ゆるさを味方につける小ワザも効いてて、クライマックスとエンドクレジットの二段攻撃の多幸感まで、巧者ぶりを堪能。ヒロインをまおさんに絞ることで一見不器用な印象を与えつつ、したたかにまとめ上げた女子の戦略にコロリと手玉に取られたって事かもしれないけど。(溝口徹/横川シネマ!!)

ラストのこの曲のために向けてつくった、アイドル誕生のプロモーション映画のように感じた。沢山の女子がでてくるが、お話自体はシンプルで、それゆえそれぞれのキャラクターがもう少し見えてくると、もっと楽しめたかなあと思った。出演者にふわっとちょこっと触れてみましたという感じを受けたので、登場人物たちのもっともっとはじけた部分が観てみたかったなあと、見終わって真っ先に思った。(菅原睦子/仙台短篇映画祭)

一言で言うと、好きです。同時に、非常にクレバーだと思いました。ゆえに観るのがしんどくない。しかし、それ以上の何かがあったか。タイトルの「ねもしすたぁ」のようなフュージョンの瞬間的な奇跡(まさにMOOSIC=映画と音楽の交錯が生むナニモノカが立ち上がる瞬間)がなかったことが残念です。ついつい病みつきになってしまうフェティシズムを刺激する役者さんの仕草やテンポで見せる展開を随所に配するだけでは、映画もMOOSICも立ち上がってはこないはずです。この企画に賭けられた何かが一瞬でも見られれば…。(田中誠一/立誠シネマ)

アイドル・せのしすたぁと劇団月刊「根本宗子」。バラバラになった女の子たちの本音と本気が共闘する!やっぱアイドルは走らなくちゃ!(大浦/シネマスコーレ)ねもしゅー、根本さん、根本宗子。私は根本宗子が羨ましい。どんなに美人の女優やスタイルのいいモデルよりも根本宗子が羨ましい。才能あるし、サブカルだし、ちょっと変だし、ポップだし、可愛い。かつて本谷有希子を初めて見た時のような衝撃だ。劇作家なのに可愛いなんて超ずるい。しかも、平成元年生まれの同い年…。私だって根本宗子と演劇やりたい。根本宗子と映画作りたい。根本宗子と友達になりたい!なんて、思ってしまった。まおちゃんの言葉がこの映画の本質だ。「死にたい」も「つらい」も形骸化して、もう重さなんてどこかへ行ってしまった今、残るのは「もっとすごいところへ行きたい」という気持ちだけだ。「いつだって私の完全勝利」、名曲!!(榊原/シネマスコーレ)

加賀温泉には行ったことがあるので、懐かしかったです。まおちゃんの野太い声がとてもキュートでした!演出はちょっと寒かったです。根本さんのダンスがキレキレでした。(コムアイ/水曜日のカンパネラ)

地味なローカルアイドルと東京の小さな劇団という「今どき」な組み合わせ(お題)を高揚感のある物語として消化させる構成力に感心させられた。脚本も担当した監督によるまさに「あて書き」の成果なのか、せのしすたぁのまおをはじめ、登場する全員がそれぞれの持ち味を出しており、ドタバタ騒がしいが嫌味のない愛すべき作品である。(松本CINEMAセレクトSTAFF一同)

今回の審査を終えて、作品コメントを書いていて思った。僕は「打ちのめされてもへこたれない」モノに愛着があるんだ。とにかく福井のアイドル「せのしすたぁ」メンバーまおさんの獅子奮迅振りが輝いている。ちょっとハスキーボイスなのも素敵だ。数多の困難を乗り越え実現する「せのしすたぁ」と月刊「根本宗子」のコラボ。そこで歌うオリジナルソング「いつだって私の完全勝利」。聴けば体温が上がる。この曲の高揚感をまだインディペンデント映画になじみのない新潟のお客さまにも届けたい。(井上経久/新潟シネ・ウインド))

さすがアイドル。ステージ上に楽しさが溢れ、主題歌が耳に張り付きました。しかし、個々のキャラクターのエピソードだけで時間は過ぎ、ライブシーンの楽しさだけが残り、笑って泣いて楽しんでとはいけなかったのは残念でした。(家田祐明/K’s cinema)

演劇(舞台)的な台詞回しや演技と、せのしすたぁのたどたどしい演技が独特な世界を作り上げていた。ラストの「いつだって私の完全勝利」は生歌で聞きたかったけれど、せのしすたぁのライブに行きたくなったし、月刊「根本宗子」の舞台も観に行きたくなった。新谷真弓のダメマネージャーがハマっていて、女優賞をあげたい!(山﨑花奈美/MOOSIC LAB札幌編主宰)

未着(九龍ジョー)

DREAM MACHINE(2015)

MOOSIC LAB 2015 公式出品作品

『DREAM MACHINE』

監督・撮影・編集:ターボ向後|出演・音楽:禁断の多数決、BRATS(黒宮れい、黒宮あや)

★AV レーベル”性格良し子ちゃん”を手がける映像作家・ターボ向後が”禁断の多数決””BRATS”という2アーティストそれぞれが観た夢を映像化?さらにそ の一方で、現実のアーティスト達のドキュメンタリーも収録?いったいどんな構成になるのか?虚実が入り乱れる実験的ムージック作品が誕生!(カラー/33分)

◉ターボ向後

童貞のままAVメーカー「V&Rプランニング」に入社。以後h.m.p、ハマジムにて監督・プロデューサー・スチールカメラマン・デザイナーを歴任。2011年「性格良し子ちゃん」設立、2014年「映像作家100人」選出。素人童貞のままガンバッってます!

◉禁断の多数決/BRATS

(禁断の多数決)シノザキサトシ、はましたまさし、ほうのきかずなり、ブラジル、加奈子、上野勇介、水蓮寺・J・さひろをメンバーとするオルタナティブポップグループ。2015年秋、待望のニューアルバム「The The Bladerunner」をリリース予定。(BRATS)黒宮あや、そしてミスiD2015に選出された黒宮れいの姉妹を中心に2011年に結成。2015年、Gt / ひより、Dr / おししが正式メンバーに加入し1stシングル「MISERY」をリリース。

※審査講評

『DREAM MACHIINE』は(そのタイトル通り)デレク・ジャーマン風の耽美的な映像詩の中に、『監督失格』ばりの生々しいセルフ・ドキュメンタリーが入り込んでくる構成ですが、この両者の接着度がもっと高ければワンレベル変わったように思います。(森直人/映画評論家)

上位に匹敵する内容だったと思います。中盤部は平野勝之監督の『監督失格』、バクシーシ山下監督の『死ぬほどセックスしてみたかった』を思い出しましたが、いなくなった恋人に対する想いはもっと身近な悲しみがあり、作品として純粋な面白さがあり、また実験性も随一でした。(田辺ユウキ/ライター)

ミュージシャンたちの幻想的な映像と、ターボ向後監督の元カノを探すドキュメントな部分との関係性がまったく掴めず、1本の映画として捉えられないままに終わりました。ドキュメントは心をざわつかせるものでしたがそれではMOOSIC LABではなく、ミュージシャンパートはMVの域を出ていないように感じます。(林未来/元町映画館)

”禁断の多数決””BRATS”という2アーティストそれぞれが観た夢を映像化されスクリーンに投影されたわけですが、僕は「どこかなんちゃらトリエンナーレやらビエンナーレやら地方の芸術祭でありそうなやつね、はいはい」とタカをくくっていました。しかし、後半のターボ向後のドキュメンタリーがあまりに苦々しく、僕の安直の評価はひっくり返りました。僕を映画というブラックホールに引きずり込むきっかけとなった平野監督の「監督失格」レベルの衝撃でした。その後も映し出される夢という夢。心理学とかそういうお勉強はしてこなかったけど、夢というのはあまりに世知辛い惨酷な現実の中でなんとか両足を地面につけるための存在なのではないかと思い知らされます。(大下直人/Kisssh-Kissssssh映画祭)

手塚治虫先生が「夢オチが好きでなかった」というようなことを子供時代に知ってから、映画でも漫画でも小説でも「夢」が出てくる作品をどうしても色眼鏡で見てしまいます。そして「夢をテーマにした作品に傑作なし」とも思っています。「DREAM MACHINE」は意欲作だと思います。(飯塚冬酒/横濱HAPPY MUSIC!映画祭)

「夢の映像化」という大チャレンジを禁断の多数決とBRATSという超強力アーティスト共にやりきった心意気に拍手!ドラッギーな映像と音楽の鳴りに酔っているところでガツンと現実に引き戻すリアルパートの強烈さ。現実のやりきれなさが「夢映画」としての純度を強めるという点も作品の強度をより高めていて素晴らしかったです。(松岡/下北沢映画祭運営委員会)

個人的に1番好きな作品です。
本当夢でも観てるのかと思いました。『夢』の描写という事故りかねない題材で、断片的な美麗な映像の連続を夢見心地に見せてくれた後に、強烈なセルフドキュメンタリーをガーーン!と差し込んでくる構成に本当シビれました‥!ミュージシャン達の魅力というのを評価するには難しい作品だったので、いっそムーラボの作品だって事意識しないでもっと好きなようにやっちゃってよかったのでは?と思いました。(黒澤佳朗/G-Shelter)

ずううううううんっと重い、人の生き死ににまつわる映画。一言でいうとひとりのAV監督が、面接した女優さんとつき合い、しかし彼女は失踪し、今になって彼女が死んでいたことを知り、それを受けてやむにやまれず制作した幻想的な短い映画。冒頭の映像は古い言葉でいうとビデオドラッグ(そういうの流行りましたよね)のよう。アングラでシアトリカルな素材を、CGを多用して仕上げたサイケデリックな映像でまとめた感じ。手先でごまかしているのか、悲しみのあまり混乱してこうなっているのか、判別不能です。AV女優が亡くなる映画として『監督失格』がありましが、あの潔い涙よりも、こちらは作り手のメンタルこじらせている感が極めて強く、なんか「嫌な重いものもらっちゃったぞ」というのが観賞後の気分です。(西島大介/漫画家)

禁断の多数決とBRATSという2アーティストの観た夢を映像化しながら、途中、ターボ向後監督のリアルなドキュメントを挟んだ実験作であるがとにかくターボ向後監督のドキュメントシーンが衝撃的。(松村厚/第七藝術劇場)

ポエム?というのが、見始めの感想でした。懐かしいグラビア感というか…。映像の質感に、ある意味「101回目のベッド・イン」よりも世代的な刺激を受けまして、これはどこに連れて行かれるのだろうと期待もあったのですが、思いがけないセンチメンタルな展開に衝撃を受けつつも、それまでが霧散してしまった印象が拭えず、手放しで面白かったと言いづらい突き放した気持ちになってしまいました。(溝口徹/横川シネマ!!)

コラージュの様にちりばめられた映像や様々な音やノイズ、一見とっちらかっているようにも見えるのだが、刻むリズムはかなり一定で、心音はとても穏やかで静かに流れているように思えた。これは監督の頭の中の世界なのかな、誰か一人の人の頭の中、記憶の物語なのかなあと思って観た。ヘンリー・ダーガーの絵が現れ何か腑に落ちた。途中言葉になったり文字になったりは気になったのだがMOOSIC LABの新しい広がりを観た思いがした。(菅原睦子/仙台短篇映画祭))

「禁断の多数決」さんと「BRATS」さんのパートとターボ向後さんのエピソードとが交錯しているように見えず、それなら自分としてはターボ向後さんのエピソードを作品としてちゃんと観たいと思いました。(田中誠一/立誠シネマ)

「ラボ」という語が最もふさわしい、実験的映像。前半の夢の中のような映像美にぼーっとしていたら、後半のドキュメンタリーのキリキリした痛みにガツンと殴られた。その暴力的で一方的で不器用な愛。結婚式の写真が切なくもかっこいい!時の儚さを具現化したような黒宮れいさんが美しかった。(榊原/シネマスコーレ)

夢というものが、人間の不安や記憶を整理する機能を持っていて、パンフレットを読んでからわかったので昔のAVにありそうな型で、新しさはない気がしたのですが、楽しめました。(コムアイ/水曜日のカンパネラ)

「アート」がやりたかったのか『監督失格』がやりたかったのか、それともその両方がやりたかったのか……。まとまりのなさを「実験」と呼ぶなら、「実験」にはなっているのかもしれないが、今年の「MOOSIC LAB」の作品の中で突出して閉じた作品だった。(松本CINEMAセレクトSTAFF一同)

「明晰夢」の中のアニメパートを観て、確かにこんな夢を見たことがあると思った。別れた女性のエピソードはちょっとドキドキしながら観た。「これから何が映るんだろう」と。ドキュメンタリーパートの音楽も格好よかった。(井上経久/新潟シネ・ウインド)

夢の世界は何でもありなので映像トリップで遠くへ行けてもすぐ飽きてくる。PV観ていて飽きるのと同じ感覚で、迷い道に入ってしまったが、ターボ スイッチが入ってドキュメントが動き出し、迷いは消えた。愛の暴発と純潔。ハッとするラスト。夢を飛び出したリアルがありました。(家田祐明/K’s cinema)

夢のなか、非現実の王国で貴方と再び出会うことができたならば、現実に向き合うことができなくても、しあわせなことなのでしょう。世の中にはそういう人がたくさんいて、わたしもまた、そういう人間なのです。既視感のあるイメージの連なりに落胆し、監督のエゴイズムにくらくらしても、こういう作品を作ってしまう人をわたしは嫌いになれない。(山﨑花奈美/MOOSIC LAB札幌編主宰)

未着(九龍ジョー)

マイカット(2015)

MOOSIC LAB 2015 公式出品作品

『マイカット』

監督・脚本:小根山悠里香|音楽:サクライケンタ|撮影:三村和弘|スチール:飯田えりか|出演:前彩子、廣田朋菜、秋澤弥里、小根山悠里香、Maison Book Girl(コショージメグミ、和田輪、井上唯、矢川葵)、中村邦晃

★MOOSIC LAB 初の公募枠から選出された新人監督・小根山悠里香×ex.いずこねこプロデューサーのサクライケンタがプロデュース&ex.BiSのコショージメグミが所属する新 ユニット”Maison Book Girl”のコラボレーションが実現!音楽療法を施された多重人格障害の女性の内面に集まる4人の女性の争いと葛藤、そこに現れる白い少女たちとの物語。(カラー/45分)

◉小根山悠里香

1991年7月4日東京都生まれ。2007年映画『14歳』で役者デビュー後、監督の視点に興味を持ち2010年日本大学藝術学部映画学科監督コースを卒業。卒業制作『紫陽花の喰べ方』が数々の賞を受賞。今作が劇場デビュー作となる。現在フリーで監督、役者として活動中。

◉Maison book girl

コショージメグミ(ex/BiS)、矢川葵(ミスiD2015)、井上唯、和田輪の4人で構成されたアイドルユニット。プロデューサーはソロアイドル「いずこねこ」を手がけていた音楽家のサクライケンタ。ファッションブランドも展開するなど音楽に限らない幅広いシーンで活躍中。

※審査講評

「惜しい」度では一番。精神分析・心理学的なアプローチは個人的にも大好きなんですが、どこか監督の頭の中にある設計図やルールをアウトプットし切れていない。『脳内ポイズンベリー』や『インサイド・ヘッド』ほど判り易くしなくてもいいですが、もっと「伝える」ことを念頭にブラッシュアップすれば化けるかもしれません。(森直人/映画評論家)

お話と音楽が絡み合うというより、どこか隔離しきっちゃっている感じに、怖さを抱きました。『世界の終わりのいずこねこ』でも実感しましたが、サクライケンタさんのトラックはやはり怪物級に素晴らしく、映画音楽家として色んな作品を手がけて欲しいです。際立っているのに、フレームに収まっている。凄いですよね。「音」の部門では圧倒的に引きつけられました。(田辺ユウキ/ライター)

今回、音楽についてアイデアも仕掛けも最も工夫されていると感じた作品でした。そのぶん、観る前の印象にくらべて思いのほか生臭かったのが残念です。違う着地点なら評価が変わっていたかも。廣田朋菜さんが好みの顔過ぎて観終わってすぐに画像検索しまくりました。素敵な女優さんを発見できて嬉しいです。(林未来/元町映画館))

自分を監禁プレイする4人の人格、さらにそこに現れる4人の少女たちが脳内の精神世界が田舎にある静謐な一軒家で送る奇妙な共同生活。今作は個人的に自分殺しの物語かと思っています。そもそも、日常生活の中でコミュニティによって自己のペルソナを使いわけ、その上SNS等でいくつものアカウントを使い分けている現代。皆がある種多重人格者。だから他人事じゃねえよ。人生における節目(子供を授かるとか大学に進学するとか)、それぞれの人格はそのままではいられず、アップデートした人格に席を譲らなければならない。そんな、古い自分をどう殺していく過程を、Maison Book Girlの静謐で神秘的な音楽とともに語られる。自分殺しの物語は誰しもの人生に起こりうる。(大下直人/Kisssh-Kissssssh映画祭)

世界観が好きです。MOOSIC版「脳内ポイズンベリー」「インサイドヘッド」はこんな感じ。民家に集まる幻想的な白い服の少女は昨年の「ほったまるびより」(吉開菜央 × 柴田聡子)とかぶってしまうのがちょっと残念。(一昨年はまさかの遅刻しそうなJKの登校シーン、まるかぶり2作品がありましたね♪)(飯塚冬酒/横濱HAPPY MUSIC!映画祭)

多重人格の主人公への音楽療法という形で音楽を活用し、今回のMOOSIC作品の中でも最も実験的に映画と音楽の融合を狙った作品。ものすごく練られた絵作りとMaison book girlの持つイノセンスな世界観との融合は素晴らしかったが、作中での音楽の鳴り方が狙いに対して少し効果的ではなかった印象。(松岡/下北沢映画祭運営委員会)

音楽と映像表現はどれも美しく、逆光で枕抱くコショージさんの佇まいがとても印象的でした。内容は初見では全く理解出来なかったので、二度目の試聴である程度理解するも、サイトなどで情報見ていると、まだまだ理解出来ていない重要な設定や内容が‥。作品の余白たっぷりの空気感に浸りたかったですが、内容が全く入って来ない苛立ちが勝ってしまって楽しめなかったです。何度も見てちょっとずつ理解していく作品もアリと思いますが、私の感覚には合わなかったです。(黒澤佳朗/G-Shelter)

サクライケンタさんの純度がきわめて高く、カルト的。変態性とフェチ度が極めて強いです。良い意味で閉じた美学を貫き通しています。ツボるひとはツボりまくって抜け出せない感じ。西島が脚本と出演で参加した『世界の終わりのいずこねこ』とは音楽家は同じでも、内向き/外向き、感覚的/論理的、と真逆な印象で興味深かったです。Maison book girlという当時まだ不安定な素材の輪郭を、監督が探り当てようとしている印象。和田輪さんの「メガネなし」はつじあやのの「メガヌード」(例えば古くてすみません、何だったんでしょうあれは?)のようで、ありだと思いました。(西島大介/漫画家)

多重人格の治療行為中の主人公の心の中を一軒家に住む4人のキャラクターで描き分け、音楽治療行為をMasion book girlが演じる白い妖精たちで表現した構成など50分足らずの尺の中でそつなく纏めている。(松村厚/第七藝術劇場)

抽象的な事象をドラマとして再構築する意欲も、音楽の関わり方も楽曲自体も、すごく魅力的だったのですが、結局Maison book girlの印象があまり残ってなくて…(彼女たちが人格を演じるんじゃダメだったのかなぁ)。前フリが、小根山悠里香×サクライケンタだったら納得したのかなぁ…それって同じことかしら?(溝口徹/横川シネマ!!)

治療を受けている部屋の2つの窓から見える色の違う風景が、2つの別空間にも見え、それがとてもこの話(複数ながら二組の心の持ちよう)を示唆しているようにも思え興味深かった。時々説明的なショットが気になったり、ぼやけた顔の処理をもう少し何かできなかったかなあ等と思って観ていたが、監督の映画をつくるぞ!映画にしたいという気持ちが伝わってくる作品だった。(菅原睦子/仙台短篇映画祭)

白い服の女子たちの存在が何なのかが遂に分かりませんでした。ひとりの女性の中で事態が展開していくわけですが、その女性にとって何が問題なのか、それがどうなっていっているのかが判然とせず、映画として消化不良でした。3つの人格の女性たちが、実体の女性の自立によって存在が消えるということがこの作品の問題の焦点だとすると、そもそもその3つの人格がどこから来たのかが明かされていないので、彼女たちが消えることに対し、観ているこちらは切迫感を感じることができず、そこも問題だと感じました。(田中誠一/立誠シネマ)

オノ・ヨーコの「カットピース」という作品の映像を見たことがある。客が舞台上のヨーコの服をハサミで切っていくというパフォーマンスだ。女性の服が切られることの意味は、男性のそれとは全く違う。主人公の心の中の家に住む4人(3人と1羽?)はそれぞれに個性的な服装をしている。まるで武装するように。そして対象的に、音楽のように心に入ってきたブクガの4人が来ているのは真っ白なシャツだ。その白さは静かな光のようだった。(榊原/シネマスコーレ)

静かで硬い画で、まろやかな光が射していました。決してやさしくはない世界を鏡のように映した部屋で、その緊張感が抜けない芝居が、今の日本らしさを映しているように思えて辛かったです。ブクガの四人はそれを感じず猫のようにのびのびしていて、本人たちの良い意味で図太いところが伝わってきました。
部屋の描写は、難しいとは思うのですが、押し入れの寝床のように生活感が出るところと、ダイニングのように生活感が出ないところがアンバランスで少し気になりました。小根山さんの存在感は良かったです。(コムアイ/水曜日のカンパネラ)

松本でロケーション撮影をしたということを抜きにしても、美しい映像による端正な作品。強い印象を残しはしないものの、出演する女の子たちはみな可愛らしく、音楽も単体として可愛らしいが、それが物語世界と調和も化学反応もしていないのが残念だった。(松本CINEMAセレクトSTAFF一同)

3つ、そしてもう1つの人格と白い少女たち。その登場の謎も映画を観れば何となく分かるようになる。音楽の使い方もすごくいい。絡み合った心の糸を少しずつ少しずつ解いていく様子を、女性たちが登場する映像と共に音で表現する。こんな音楽と映画のコラボレーション、これまでのMOOSIC LABであっただろうか。小根山監督の優しさに触れた気がします。(井上経久/新潟シネ・ウインド)

多重人格治療の中で、複数の人格は存在を消さないようにもがきながらも人格を生んだ主人たる女性を守ってる。所在なき存在。存在なき所在。自分自 身の混乱する頭の中で白い少女が駆け回っていました。感覚的、視覚的に楽しめましたが、多重人格という複数の人格ならばもっと多様性がほしかったです。(家田祐明/K’s cinema)

マイカットにふれるまえに。わたしは「14歳」という映画の大ファンで、何度も何度も繰り返し観ている群青色中毒者である。冒頭の病院でのやり取り、先生とミエコの会話のテンポ、声のトーンであの映画を思い出して嬉しくなった。(山﨑花奈美/MOOSIC LAB札幌編主宰)

未着(九龍ジョー)